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原発避難訴訟 国の津波予測の可否、最高裁統一判断へ

東京電力福島第1原子力発電所の事故で福島県から千葉県に避難した住民らが国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は15日、双方の意見を聞く上告審弁論を開いた。最高裁が審理する同種の4訴訟のうち弁論は初めて。巨大津波の発生を国が予見できたかが最大の争点で、住民らと国側が主張を展開した。

4訴訟では国の責任を巡り高裁段階で判断が分かれており、最高裁は夏にも統一的な判断を示すとみられる。東電側に対しては4訴訟で計14億5千万円の賠償命令が既に確定。国の責任が認められれば、賠償額を国が東電と連帯して支払うことになる。

訴訟は政府機関が2002年7月に公表した地震予測の「長期評価」に基づき、国が巨大津波の襲来を事故前に予測できたかどうかが最大の争点になった。長期評価は、福島県沖を含む範囲でマグニチュード8クラスの地震が起きる可能性に言及していた。

15日の上告審弁論で、原告側は「長期評価は客観的で合理的な根拠がある科学的知見であり、津波を予見できた。長期評価に基づく予見をせず、対策を取らなかった国の対応は著しく不合理だ」と主張した。

福島県浪江町から避難した原告の小丸哲也さん(91)は意見陳述で「事故で先祖代々の家も田畑も汚染され、人生をかけて築き上げてきたものを全て失った。国の責任をはっきり認めて頂きたい」と述べた。小丸さんは弁論後に記者会見し、「無念の気持ちを訴えたいという気持ちで陳述した」と語気を強めた。

国側は長期評価について「原子力規制に取り入れるべき精度を備えていると認められる知見ではなかった」と訴えた。法令に基づき東電に津波対策を取らせる権限を行使したとしても事故は防げなかったとして「国の措置は合理的」と反論した。

21年2月の二審・東京高裁判決は、国の責任を否定した一審・千葉地裁判決を変更。長期評価を科学的に信頼できる知見として、既に支払い済みの分などを差し引いて算定した約2億7千万円のうち、約1億3千万円については国も連帯して支払うよう命じた。

原発避難者が国を訴えた訴訟はこのほか群馬、福島、愛媛の各地に避難した住民が起こした3訴訟が最高裁に係属している。第2小法廷は今後、5月中旬までに残る3訴訟も弁論を開き、国側と住民側双方の意見を聞く。

4訴訟の二審判断は割れている。千葉、福島、愛媛の住民による3訴訟はいずれも長期評価に基づいて防潮堤を設置するなどの対策を取るべきだったとして国の責任を認めた。

一方、群馬に避難した住民が起こした訴訟で東京高裁は21年1月、長期評価の合理性に疑問があるとし「国の津波対策に関する対応に問題があったとまで認めるのは困難だ」と判断。国の責任を否定し、東電のみに賠償を命じた。

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