服役中死亡、国賠償で和解 ロック歌手遺族に4000万円
北海道月形町の月形刑務所で2017年、ロック歌手の伊藤耕さん(当時62)が服役中に死亡したのは、刑務所や受診した町立病院の対応が不適切だったためだとして、遺族が国などに損害賠償を求めた訴訟が7日、東京地裁(男沢聡子裁判長)で和解した。
遺族側によると、国がほぼ請求通りの4300万円支払う内容。町との間では町が解決金50万円を支払い、哀悼の意を表す内容の和解が既に成立している。
伊藤さんはロックバンド「THE FOOLS」のボーカルとして活動。訴状によると、伊藤さんは覚醒剤取締法違反の罪で実刑が確定し、15年10月から服役。17年10月に激しい腹痛を訴え、町立病院で痛み止めの投与を受けた。刑務所に戻った後も痛みを訴えて意識を失い、2日後に搬送先で亡くなった。
訴訟の過程で開示された刑務所内の監視カメラ映像では、苦しむ伊藤さんに職員が「この程度では病院に行かない」などと発言した場面があった。和解後に東京都内で記者会見した妻の満寿子さん(55)は「ひどい対応。耕はおかしいと思うことと闘ってきた人で、遺志を引き継いだ」と語った。代理人の島昭宏弁護士は「国が全面的に責任を認めたといえる」と評価した。
法務省矯正局は「被収容者の健康管理には万全を期するとともに、適切な医療の実施に努めたい」としている。〔共同〕