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象牙密輸の防止策暗礁 コロナで五輪に間に合わず

ワシントン条約で国際取引が禁止されている象牙が日本から違法に輸出されている問題を巡り、東京都が目指していた東京五輪・パラリンピック前の実効的な防止策提案が困難な状況になっている。新型コロナウイルス禍で都の有識者会議が思うように開けず、議論がまとまっていないためだ。国内取引が自由な日本が違法取引を誘発しているとの指摘もあり、専門家は「曖昧な決着は許されない」とくぎを刺す。

「開催都市の責務として対策を検討する必要がある」。2020年1月の初回会議で小池百合子都知事は強調した。五輪開催都市となり、東京はスポーツ以外の面でも動きが注目される。1990年以降、条約で国際取引が原則禁止される象牙の扱いもその一つだ。

訪日外国人が象牙製品を違法に持ち出さないようにするにはどうすればよいか。大消費地の東京の取引実態を検証し、対策を打ち出す目標が掲げられた。

アフリカゾウは密猟の深刻化で絶滅が懸念され、条約締約国会議は16年、国内市場閉鎖も求める決議を採択。米中や欧州など主要な市場は次々と禁止措置を進めている。

一方、日本では象牙は独特の質感から、楽器の部品や印鑑などに古くから使われてきた歴史がある。政府は「国内の市場は厳格に管理されており、違法取引とは無関係」として容認の姿勢を示している。だが実際には、日本から密輸された象牙が中国で押収されるケースが続出している。

東京五輪・パラリンピックでは海外からの一般観客の受け入れは断念したものの、来日する選手や大会関係者は数万人規模に上ると見込まれている。国内取引の継続姿勢を解かない政府をよそに、都は独自に密輸対策を加速させたい構えだ。

だが新型コロナの感染拡大が会議の開催を阻み、この1年あまりで開催できたのはわずか4回にとどまる。大会前までには規制や取引禁止といった実効策には踏み込めない見通しで、普及啓発や事業者への注意喚起にとどまるとみられる。

都の対応は海外から注目されている。リベリアなどアフリカゾウの生息国4カ国は今年3月、小池知事に都内の市場閉鎖を求める書簡を送付した。米人気俳優のレオナルド・ディカプリオさんは自身の会員制交流サイト(SNS)で、象牙の販売をやめるよう小池知事に呼び掛けた。

認定NPO法人「トラ・ゾウ保護基金」事務局長の坂元雅行弁護士は「16年決議で、日本を含む加盟国は市場を閉鎖することに合意した」と、容認を続ける日本政府の姿勢を批判。「都は『脱象牙』という大方針をまず掲げ、都内の事業者に五輪期間中の販売自粛を要請し、ゆくゆくは条例で取引を禁止すべきだ」と語った。〔共同〕

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