就活替え玉、関電元社員に求刑懲役2年6月 東京地裁
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企業の採用試験のウェブ型適性検査で受検代行したとして、私電磁的記録不正作出・同供用の罪に問われた関西電力元社員、田中信人被告(28)の初公判が8日、東京地裁であり、田中被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は「企業の採用業務の公正さをゆがめた」として、懲役2年6月を求刑した。
弁護側は「反省している」などとして執行猶予付き判決を求め、即日結審した。判決は28日。
検察側は冒頭陳述などで、田中被告は2019年3月から22年7月まで、テストの代行をあっせんする業者から紹介を受けたり、自らSNS(交流サイト)を通じて受検者を募ったりして、延べ3000社超のテストで代行を繰り返したと指摘した。
自ら受検者を募った場合は1教科あたり2000円の報酬を自身の口座に振り込ませ、約400万円の利益を得ていた。食費やブランド品の購入代金などにあてたと主張し、「動機は自己中心的かつ利欲的なもので酌量の余地はない」と非難した。
田中被告は被告人質問で「今振り返ると間違いだと思うが、当時は人助けになっているという誤った認識を持っていた」と話した。
起訴状によると、田中被告は22年3〜4月、就活中の大学生らになりすましてカード会社や商社、コンサルティング会社などが行ったウェブ型適性検査を不正に受検したとされる。
事件は、警視庁による違法情報などを探索する「サイバーパトロール」で発覚した。採用試験のウェブ型適正検査で代行者を立件したのは全国初だった。