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路線価に基づかない相続課税の是非、最高裁が司法判断へ

(更新)

実勢価格より大幅に低い路線価に基づいて相続財産を評価することが適切かどうかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は21日、当事者の意見を聞く上告審弁論を2022年3月15日に開くと決めた。二審・東京高裁は、路線価が大幅に低い場合は路線価による財産評価は不適当だとする国の主張を認めたが、最高裁が改めて考え方を示す可能性がある。

国税庁が相続財産の算定基準のひとつとする路線価は、土地取引の目安となる公示地価の約8割とされており、実勢価格より低いのが一般的だ。このため節税目的で不動産を購入する富裕層も多い。今回の事案は実勢価格から大きく乖離(かいり)した路線価を基にした相続財産の評価が問題となった訴訟で、関係者の間で大きな注目を集めていた。

原告は、故人が銀行から融資を受けて購入した不動産の相続人。一、二審の判決での事実認定などによると、原告は東京都内と神奈川県内のマンション計2棟を相続した際、路線価に基づいて財産を約3億3000万円と評価。銀行からの借り入れもあったため、相続税額を「ゼロ」として申告した。

もともと故人が購入した価格は2棟で計13億8700万円だった。国税当局の不動産鑑定でも評価は計約12億7300万円で、路線価とかけ離れていたため、国税当局は「路線価による評価は適当ではない」と判断。相続人による財産評価を否認し、約3億円を追徴課税した。原告側はこれを不当だとして訴えた。

19年8月の一審・東京地裁判決は、路線価に基づいて申告した評価額について「不動産の客観的な交換価値を示しているかは相応の疑義がある」と指摘。「特別な事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で評価されることが許される」として、課税処分は妥当だと判断した。20年6月の二審・東京高裁判決も判断を維持した。

国税庁は相続時の財産評価のあり方を「財産評価基本通達」で示している。不動産なら公表されている路線価などを算定基準としている。

ただ路線価は実態と大きく乖離する場合があることから、同通達6項では「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」との例外規定を設けている。今回の訴訟で争われた財産を巡っても、国税当局はこの規定を適用し、評価を見直した。

最高裁はこの規定の適用について司法判断を示す可能性があり、その内容に関心が集まりそうだ。

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