ルフィグループ2人、7日先行送還 警視庁は捜査員派遣

【マニラ=共同】フィリピンのレムリヤ法相は6日、日本の警察が広域強盗事件に絡み同国に強制送還を求めている容疑者4人のうち今村磨人(38)、藤田聖也(38)両容疑者を7日に送還すると明らかにした。残る渡辺優樹(38)と小島智信(45)両容疑者の刑事裁判は6日、審理が開かれたが棄却か否かの結論が示されなかった。
担当裁判官は7日午前に判断を示すと共同通信などに述べた。係争中には移送できないため、指示役「ルフィ」を含むとみられる4人の一斉送還を両国政府は断念した。
今村、藤田両容疑者のフィリピンでの刑事裁判は全て棄却されていた。警視庁は強盗とは別の特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑で4人の逮捕状を取っており、移送に向け捜査員15人ほどを6日、首都マニラに派遣した。
渡辺、小島両容疑者の刑事裁判は一斉送還を妨げる最後の障害だった。検察側が法務省の要請を受け棄却を申し立てていた。書記官によると、両容疑者は6日の審理にオンラインで参加した。両国政府は両容疑者の送還日程を改めて調整するが、レムリヤ氏は裁判が棄却され、8日に送還できるよう望んでいると述べた。
フィリピン政府は8日に始まるマルコス大統領の日本公式訪問の際に送還問題に関心が集まるのを避けようと、訪日前の決着を目指してきた。
渡辺、小島両容疑者は2021年4月、潜伏先のマニラのカジノ併設ホテルで捜査当局に逮捕され、入管施設で拘束されていた。渡辺容疑者はフィリピン人の元妻が、小島容疑者は元同居女性が暴行を受けたとして告訴。検察は21年5月、渡辺容疑者を起訴した。
4容疑者は広域強盗事件が起きる前から、フィリピンを拠点に日本の仲間と共謀し、日本の高齢者らに電話をかけキャッシュカードを盗むなどした疑いが持たれている。被害額は60億円を超える。