「キムタク信長」に46万人、岐阜県警が最大級の警備

岐阜市で5日に始まった「ぎふ信長まつり」は6日、最終日を迎え、俳優の木村拓哉さん（49）らが出演して「信長公騎馬武者行列」が行われた。岐阜市によると、来場者数は前回比8割増の約46万人。市と岐阜県警は雑踏事故が起きないよう、大規模な交通規制を敷くなどして最大級の態勢で警備に当たった。

県警によると、大きな事故やトラブルはなかった。

信長役の木村さんと家臣役を務めた岐阜市出身の俳優、伊藤英明さん（47）は午後1時半ごろ、武者行列に合流した。市中心部の金華橋通りを馬に乗って約30分間、ゆっくりと練り歩いた。集まった見物客らが一斉に歓声を上げ、スマートフォンで撮影した。

市によると、観覧申し込みには、1万5千人の定員の約64倍となる96万人超の応募があった。6日は観覧エリアの抽選に外れた人も含め、多数が来場。見物客の数は新型コロナウイルス感染拡大前の前回2019年（約25万人）を大きく上回った。

直前に韓国・梨泰院で起き、156人が犠牲になった雑踏事故を受け、岐阜県警が特に腐心したのが「駅前」「行列終了後」「落選者」の混雑回避だ。

県警はまず、人が集まる駅前の密集防止に全力を挙げた。JR岐阜駅で一時、ペデストリアンデッキ（歩行者用通路）と織田信長像が立つ中心広場を結ぶ階段を封鎖。駅構内の階段やエスカレーターでも、警察官らが立ち止まらないよう繰り返し注意喚起した。「（市中心部の）柳ケ瀬商店街を観光するなど時間をずらして帰るようにしてください」とも呼びかけ、人が滞留しないよう警戒した。

岐阜市は行列終了後に人が一斉に移動しないよう配慮。木村さんらによる武者行列が行われた金華橋通り沿いを16の観覧エリアに分けた。それぞれをフェンスで囲い、武者行列が終わった後は順番に退場を促すことで、見物客の移動を制限した。

さらに、金華橋通りを挟んで観覧エリアと反対側の車道や歩道に急きょ設けられたのが抽選に外れた人のためのスペースだ。警察官が「本来ここは開放するところではなかった」と説明した。

粋な計らいにファンらから拍手が起きた一方で、スペース内で木村さんに近づこうと無理やり前に進もうとする人に警察官が「最前列にお子さんがいます」と注意する場面も見られた。愛知県一宮市の男性会社員は「観客の多くが指示に従っていて、危険だと感じることはなかった」と話した。

ぎふ信長まつりは1957年に始まった。新型コロナ感染拡大を受け、2020年と21年は中止だった。

今回、木村さんの出演は23年1月公開予定の映画「THE LEGEND&BUTTERFLY」で信長役を演じるのが縁で実現した。〔共同〕

行楽シーズンを迎えた列島各地で5～6日、大勢の見物客が集まる大規模イベントが開催された。韓国の雑踏事故を念頭に、主催者や地元警察は警備態勢を強化。人々が倒れて被害が拡大する「群衆雪崩」の発生を警戒した。

「人が多くなってきました、気をつけてお帰りください」。6日の「ぎふ信長祭り」で武者行列終了後、警察車両に上った「DJポリス」が順番に退場するよう促した。

茨城県土浦市で5日に開催された「土浦全国花火競技大会」でもDJポリスが出動し、「押さずに進んで」などと見物客に小まめに声をかけた。来場者は県内外から約45万人。警察や民間警備員などは約2千人態勢で、大会実行委員会は警備の終了時刻を延ばして帰り際の混雑に気を配った。

会場周辺で一方通行を呼びかける案内表示を増やし、混雑時は観覧席への入場を制限。大きなトラブルや事故は発生せず、実行委の担当者は「滞りなく終わり安心した」と胸をなで下ろした。

ソウルの雑踏事故を受け、警察庁は10月30日付で全国の警察に多くの人出が見込まれるイベントで地元自治体と連携して交通整理などに当たるよう指示。ハロウィーンで若者が集まった東京・渋谷では警視庁が狭い路地にも警察官を配置し、トラブル防止に努めた。〔共同〕