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海外逃亡防止にGPS案、保釈中の被告に装着 法制審部会

保釈された被告の逃亡防止策を検討する法制審議会(法相の諮問機関)の部会は8日、全地球測位システム(GPS)端末の装着を命じる制度の導入などの要綱案をとりまとめた。適用は海外に逃げる恐れがある場合に限定する。裁判所への不出頭や、制限住居を離れた場合の罰則の新設なども盛り込んだ。

近く開く法制審総会で承認し、法相に答申。法務省は関係法令の改正準備を進める。

要綱案の柱は、保釈中の被告の海外逃亡を防ぐため、裁判所がGPS端末の装着を命じることができる制度を創設する点だ。

被告が裁判所の許可なく、空港や港湾施設に立ち入ったり、端末を外したりした場合、裁判所に端末から通知が届く仕組み。その後、裁判所から連絡を受けた捜査機関が被告の身柄を確保する。

逃走罪の適用範囲も見直す。現行刑法は刑務所や警察署など留置施設にいる容疑者や被告が逃走した場合に対象を限るが、「法令により拘禁された者」に拡大し、収容前に逃げた容疑者なども対象に含める。法定刑は3年以下の懲役に引き上げる。

保釈中の被告が裁判所の呼び出しに応じない場合の罰則がなく、公判への出頭確保のため罰則を新設する。正当な理由なく公判期日に来ない「不出頭罪」や、裁判所の許可を得ずに制限住居から離れる「制限住居離脱罪」などで、それぞれ2年以下の懲役とする。

裁判所の判断で保釈時に「監督者」を選任できる制度も設ける。一緒に出頭したり、生活状況の変更に関する報告をしたりする義務を負う。監督者が監督保証金を納めない場合、被告は保釈されない。

海外では保釈中の行動を把握する目的で、GPSを活用している。英国では足首に着けさせ、司法省の委託を受けた民間企業が現在地を調査。フランスや韓国、カナダの一部の州では裁判所が保釈条件として装着を命じることができる。

一連の議論は、保釈中の被告の逃亡が相次いだことがきっかけだ。神奈川県で2019年6月、有罪が確定し横浜地検が収容しようとした男が逃走。同11月には大阪府で護送中の被告が逃げる事案が起きた。

同12月には日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)が保釈条件に違反し、国外逃亡した。

保釈率が高まったことも背景にある。国連の作業部会などから長期に及ぶ起訴後の身柄勾留への批判を受けるなか、裁判所は保釈を認める傾向にある。保釈率(起訴から判決までに保釈された被告の割合)は09年の15.6%から、20年に31.9%と倍増した。

一方、逃亡や証拠隠滅を図り、保釈が取り消されるケースも増えた。20年は205人と、09年の42人から約5倍に膨らんでいる。

元裁判官の法政大法科大学院、水野智幸教授(刑事法)はGPS導入について「逃亡などのリスクを排除しつつ、プライバシー確保も求められる」と指摘。そのうえで「保釈を巡る制度を適切に運用し、過度な長期勾留を是正していくことが望ましい」と話した。

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