東電、原発事故の避難者に謝罪 敗訴確定受け

東京電力福島第1原子力発電所事故による避難者らが起こした損害賠償請求訴訟での敗訴確定を受け、東電は5日、福島県双葉町の産業交流センターで原告らに対面し、「事故でかけがえのない生活や古里に大きな損害を与え、皆さまの人生を狂わせ心身に取り返しのつかない被害を及ぼした。誠に申し訳ございません」と謝罪した。
東電の高原一嘉・福島復興本社代表が、小早川智明社長名義の謝罪文を代読し原告側に手渡した。受け取った早川篤雄原告団長は「事故を防げなかった原因と責任を、客観的事実に基づき究明してほしい」と求めた。
記者会見した原告側の米倉勉弁護士は、東電が加害責任を認めた点を評価しつつ「津波への対応を先送りしたことで、事故を発生させたことを正面から認めていない」と批判した。
原告は2012年、東電のみを相手に福島地裁いわき支部に提訴。最高裁が今年3月に東電側の上告を退け、国の基準を上回る計約7億3千万円の賠償を命じた二審仙台高裁判決が確定した。〔共同〕