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560人避難「この先どうなる」 熱海土石流、復旧に時間

物資が用意された避難先のホテルに入る人たち(5日午前、静岡県熱海市)

静岡県熱海市伊豆山地区で発生した土石流で、自宅が流されるなどした560人超の住民が避難を余儀なくされている。5日で発生から3日目。一部地域で断水が続き、捜索活動も断続的な雨で思うように進まず、復旧作業の見通しは立たない。新型コロナウイルスの感染対策をにらみ避難者は全員がホテルに移ったが、「いつ帰れるのか」と不安は大きい。

市は4日まで小中学校など約10カ所に避難所を設けていたが、5日朝までに市内2カ所のホテルに移ってもらった。避難所では仕切りを置き、希望者にマスクを配るなどのコロナ対策をとっていたが、身を寄せた人からは「対策が十分とはいえない」との懸念の声が上がっていた。

「この先どうなることか」。土石流の現場付近に住む太田雄三さん(70)は避難先の一つ、熱海ニューフジヤホテルでうなだれた。

3日午前、「ドドド」という轟音(ごうおん)を聞いた太田さんは外の様子をみようと自宅のドアを開けた。目の前で周囲の家屋や道路が一気に流されていった。

太田さんはその日夕に市内の中学校に避難し、翌4日に市が用意したバスでホテルに移った。「ここまで激しい土砂崩れを見たのは初めて。もう自宅に戻れないのではないか」と心配する。土石流の被害地域付近に住む叔母といとこには電話をかけ続けているが、連絡は取れていない。「流されてしまったのかもしれない」と涙を浮かべつつ、無事を祈る。

二次災害に警戒しながらの捜索活動はなかなか進まず、本格的な復旧作業の見通しは立たない。市は避難の長期化もにらみ、ホテルを避難先とした。点在する避難所より食料提供や空調管理がしやすく、「住民の健康状態を維持しやすい」(斉藤栄市長)と判断した。

ホテル側は感染防止に気を配る。熱海ニューフジヤホテルは4日から休館予定だったため一般客の予約はなく、多くの部屋を確保できるとして受け入れを決めた。同日午後から避難者が順次移動。検温や手指消毒を促し、チェックシートで健康状態を確認している。5日朝時点で507人が身を寄せる。

運営会社の担当者は「感染対策も徹底し、市と連携しながら避難者が安心して生活できる環境づくりに協力したい」と話す。

ホテルニューアカオは介護施設から避難した55人を受け入れている。車椅子が必要な人が多く、施設側と話し合って職員が目配りしやすいよう、宴会場と7人まで泊まれる客室を用意した。感染対策で食堂には広めの「ダンスホール」を使い、対面での食事は避けている。

避難生活では持病などを抱えた人への対応も必要になる。伊豆山地区の森元傅さん(88)は尿管結石などの持病を抱え、5日朝に避難先のホテルから徒歩5分ほどでかかりつけの診療所に向かった。「逃げるので精いっぱいだった」と持ち金もわずか。薬の代金は薬局に立て替えてもらった。

妻(83)も心臓に持病があり、森元さんは「いつまで避難が続くかわからず、妻の体調も維持できるだろうか」と心配する。

市はホテルに避難者を集めたことで「医師や保健師らが回りやすくなった」と話す。今後は職員らも含めて巡回態勢を強化し、避難生活の支援を進めるという。

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