里親や養子縁組も選択肢に 不妊治療の夫婦へ情報提供
不妊治療への公的医療保険適用が4月から大幅に広がったのに合わせ、治療を受ける夫婦に里親や特別養子縁組も選択肢として知ってもらおうと、厚生労働省が医療機関向けの手引を作成した。「妊娠・出産がかなわない」と誤解されないようタイミングに配慮しつつ、情報提供に力を入れる。
不妊治療を行う医療機関に厚労省が昨秋実施した調査では、里親などの制度に関する情報を患者に提供していたのは47.5%にとどまる。
手引は厚労省が4月に自治体を通じ医療機関に周知した。約50ページ。子どもを一定期間預かる里親と、戸籍上も実子と同じ扱いになる特別養子縁組の違いを説明しているほか、迎える際に適した夫婦の年齢や必要な手続きを盛り込んでいる。
患者への情報提供の時期は、治療の中止を勧めていると捉えられないよう「治療前に全ての選択肢を提供することが望ましい」とした。
里親や養子で子どもを迎えようと思った場合でも、審査や研修を経た上での登録やマッチングがあり、実現しない場合もあることを記載。患者が余裕を持って検討できるよう支援する必要があるとしている。
厚労省によると、不妊の検査や治療の経験がある夫婦は、5.5組に1組に上る。一方、虐待などを理由に実の親と暮らせない子どもは約4万2千人(2020年度)おり、里親が育てるのはそのうち6019人(14.2%)と低迷している。〔共同〕