折り鶴を雑貨に再利用 ヒロシマの思い伝えたい

広島市の平和記念公園に平和と核兵器廃絶の願いを込めて全国各地から寄贈される折り鶴は、毎年1千万羽に上る。広島市の会社は、増え続ける折り鶴をカレンダーやカードケースなどの雑貨に再生する「リ・オリヅル」プロジェクトを展開。新たな広島土産として話題を呼んでいる。
「ソアラサービス」の牛来千鶴社長は「新たな資源を消費することなく製造し、平和への思いを伝えることができる」と話し、地球環境にも配慮しながらヒロシマをアピールできる試みだと強調する。
広島市から提供を受けた折り鶴は、水に溶かして解体。酒パックを再利用した台紙にちりばめてカラフルな紙に生まれ変わる。これを加工したノートや便箋など5商品を売り出している。ハトや花の絵をあしらい、柔らかいデザインに仕上げた。広島県内や東京都に加え、パリや米ポートランドの土産物店や雑貨店で取り扱っている。
牛来さんが折り鶴の再生紙を使った事業を企画したのは、約20年前、初めて8月6日の平和記念式典に参加したことがきっかけだ。父親が被爆者だが、それまで平和問題に特別な思いはなかった。式典で多くの人が祈りをささげる一方、式典会場の外にいる人は、それまでの自分と同じ無関心でいるように見えた。
「双方の橋渡し役となる事業をつくりたい」と考え、行き場のない大量の折り鶴に目を付けた。元は全国の学校などで一生懸命折られた鶴。牛来さんは「思いを込めて折ってくれた人にありがとうという気持ち。商品を通してその思いをつなげていく」と話した。〔共同〕