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自動運転レベル4、22年度にも実用へ 人材育成に課題も

(更新)

特定の条件下で運転を完全に自動化する自動運転の「レベル4」が2022年度にも実用段階に入る。政府が4日、レベル4の車両を使う移動サービスを解禁する道路交通法の改正案を閣議決定した。公共交通網が脆弱な地方で住民の「足」として機能するといった役割が期待されるが、遠隔監視を担う人材の育成など課題も浮かぶ。

政府は法改正により、都道府県の公安委員会が事業者らの運行計画を事前に審査して許可を与える制度を創設する。

モニターを使って遠隔監視しながら走らせる巡回バスなどを想定し、監視を担う主任者の配置を事業者側に義務付ける。事故が起きた場合などに、速やかに現場に人を配置して車両を移動したり、救護に参加したりといった対応が不可欠なためだ。

緊急時などは人間が運転するレベル3と異なり、レベル4は天候や道路環境などにより自動運転の継続が難しくなっても車を安全停止させるところまでシステムが担う。運行を管理できるなどの観点から、自家用車よりも自治体や企業が決まったルートで住民や物を運ぶ事業車両での実用化が先行する。

21年に改正・施行されたドイツの道交法なども、主にこうした用途を念頭に置く。米中の特定地区で導入が進む自動運転サービスも同様だ。

自動運転に詳しいSOMPO未来研究所の新添麻衣・主任研究員は「日本の法改正内容は世界の潮流に沿ったものだ。運行エリアを制限し、管理を企業などに委ねる点が初期のレベル4の安全確保、早期の社会実装を進めるうえで重要となる」と話す。

現在国内で「最もレベル4に近い形態」(政府関係者)とされるのが、21年3月からレベル3車両の営業運行を始めた福井県永平寺町だ。

土日祝日に限って乗務員を乗せずに遠隔監視下で運行するレベル3で走らせ、鉄道廃線跡の公道約2キロの区間を最高時速12キロで走行。観光客や買い物に向かう住民らを有料で運んでいる。

係員は付近の事務所に待機し、車両3台の運行を同時監視する。レベル3では人間が遠隔にいる場合でも緊急時はシステムから運転操作を引き継ぐが、こうした事態が起きたことはないという。町は今回の法改正が実現すれば、レベル4への引き上げも視野に入れる。

ただ現在は自転車・歩行者専用の道路を使用し、区間中に右左折の箇所もない。「一般の車が行き交う公道での走行はまだまだハードルが高い」(同町担当者)といい、運行地域の拡大には慎重だ。

SOMPO未来研の新添氏は「今後技術が進展し、より多くの車両を遠隔監視する形態が実現すれば監視を担う人間に求められるスキルも高度化する。地方の交通事業者などにとっては人材の確保が難しくなる可能性がある」と指摘する。

対応策としては長期的な視点で監視の人材を育成する制度の創設のほか、「高度な技術やノウハウを持つ企業に監視の部分は委託して運行するといった方法も考えられる」と話している。

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