熊本豪雨2年で追悼式典 遺族「災害の教訓、次世代に」

九州5県で災害関連死を含め計79人が亡くなった2020年7月の豪雨から2年となるのを前に、熊本県人吉市で3日、追悼式が開かれ、遺族代表の永尾禎規さん(58)は「豪雨災害の教訓を次世代へ伝え、地域の安全のため、協力したい」と誓った。
気象庁は2年前の4日未明、熊本県と奄美を除く鹿児島県に大雨特別警報を発表。熊本では同日、球磨川が氾濫し、人吉市を含む流域自治体で甚大な被害が出た。
永尾さんは自宅で父、誠さん(当時88)を亡くした。1965年の大水害では消防団員だった誠さんが幼い永尾さんを抱きかかえて避難したといい「今度は私が助けなければならなかったのに、無念さは今も心に残る」と話した。
行方不明になっている芦北町の城幸恵さん(当時89)が暮らしていた自宅では、おいの文博さん(75)が花を供え手を合わせた。城さんが死亡したとみなす手続きを終えたと明かし「早く見つかってほしいが、このままでは前に進めないと考えた。叔母さんが安らかに眠るための現実的な出発点だ」と語った。
球磨川の濁流にのまれた城さん宅は残すといい「叔母さんを思い出すよりどころにしたい」と話した。
熊本では関連死2人を含め67人が死亡、家屋7千棟超が浸水するなどした。6月27日時点で1195戸、2618人が仮設住宅に入居している。〔共同〕