東日本大震災12年 行方不明なお2523人「捜索続ける」

東日本大震災では2023年3月1日時点で2523人が行方不明のままだ。被災地では沿岸部を中心に地元の警察官などが定期的に捜索を続けている。発災から12年がたち、不明者の手掛かりは乏しくなっているが、家族の元に返すという関係者の思いは今も変わらない。
200人以上が行方不明となっている宮城県南三陸町。10日朝から県警南三陸署の署員ら10人が捜索活動を行った。同署は住民から寄せられる漂着物の情報などをもとに捜索を続けている。この日も海に向かって黙とうをささげた後、2時間にわたって捜索を続けたが、有力な手掛かりの発見には至らなかった。
指揮する丹野勉地域課長は「指輪のような小さなものでも見逃さない気持ちで捜索を続けていきたい」と語った。
警察庁によると、震災による行方不明者は23年3月1日時点で2523人おり、この1年間で新たな遺体の発見と身元判明はなかった。時間が経過し、住民からの情報も減っているという。

捜索を続けているのは警察だけではない。マリンスポーツを通じた地域活性化に取り組む宮城県亘理町のNPO法人「海族DMC」は19年から水中ドローンを使った捜索を続けている。毎月、月命日に同法人のメンバー5人で行う。
代表の太見洋介さん(45)は福島市出身。子どものころに弟を病気で亡くした経験があり「家族を失った被災者と心を重ね合わせ、何かしたいという気持ちになった」と力を込める。
海の透明度が高い冬の海は捜索には好条件だが、水温が低く潜水士による作業は「1時間を超えると体力の消耗が激しく難しかった」。水中ドローンを導入してからは6時間の捜索活動が可能になった。最大潜水深度は人の限界と同じ15メートル。これまでに子どもの体操服やランドセルなどを発見し、警察に引き渡している。
若い世代の取り組みもある。仙台高等専門学校は地中の様子をレーダーで読み取るロボットを捜索に活用する研究を進めている。22年10月には宮城県石巻市の海岸で実験を行い、実用化に向けて改善点などを洗い出した。
開発に携わる同校の園田潤教授によると、砂浜であれば地中2メートルの深さまで識別可能だ。行方不明者の捜索は広範囲に及ぶため「ロボットの力で効率的な捜索ができるようになれば発見の確率も高くなる」と期待を寄せている。