「漫画村」元運営者に実刑 「著作物の収益構造破壊」

人気漫画をインターネット上に無断で公開した海賊版サイト「漫画村」の著作権法違反事件で、同法違反と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)の罪に問われた元運営者、星野路実被告(29)に福岡地裁は2日、懲役3年、罰金1千万円、追徴金約6200万円の判決を言い渡した。求刑は懲役4年6月、罰金1千万円、追徴金約6200万円だった。
漫画村は国内最大規模の海賊版サイトで2018年4月に閉鎖した。神原浩裁判長は、星野被告が多数の人を呼び込んで広告収入を得る仕組みを考案し、大量の漫画データを閲覧可能な状態にすることを繰り返したと指摘。「著作物の収益構造を根底から破壊し、文化の発展を阻害する危険をはらんでおり、違法性は高い」と述べ、実刑が相当と判断した。
弁護側は、一部の漫画データは、漫画村でない他のサイトが公開していたもので違法でない、などと主張したが、漫画村で一般に閲覧できる状態にしており、著作権法違反に当たると退けられた。
星野被告は上下黒色の服に丸刈りで入廷。主文にも表情を変えず、理由読み上げの間はじっと前方を見つめていた。
判決によると、17年5月、集英社の人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」と「キングダム」の画像データをサーバーに保存し、無断でネット上に公開。16年12月~17年11月には、漫画村運営で得た広告収入約6200万円を海外口座などに入金させ、犯罪収益を隠した。
集英社の担当者は判決後、福岡市内で記者会見し「心血を注いだ作品が無料で公開されれば、面白い作品が生まれる土壌を損なってしまう。実刑判決は妥当だ。一定の抑止効果を期待したい」と話した。〔共同〕