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「富士山噴火」に備え、山梨で対策強化 避難計画が課題

(更新)

「富士山噴火」に備え、山梨県が対策強化に乗り出している。想定噴火口は最も近いもので市街地から約3キロ。市民の安全確保が欠かせない。同県側での登山者は年間約15万人。避難誘導が鍵を握るが、法律に基づく計画づくりは道半ばとなっている。

対策強化の契機は噴火時のハザードマップ見直しだ。国や静岡、山梨、神奈川の3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」が2018年から作業。今年3月に17年ぶりの改定に至った。最新の知見を踏まえ、今後起きうる溶岩流や火砕流の規模を示した。

その結果、山梨県富士吉田市では市役所に約2時間で溶岩流が到達する可能性が示されるなど、静岡県側と比べて噴火口が市街地に近いリスクが突き付けられた。

山梨県は県の対策拠点候補を同市外に変更。4月には溶岩流シミュレーション動画を作成した。住民説明会で活用していくという。

登山者や観光客への対応も難しい。懸念されるのが、噴火警報や避難指示の情報を伝え円滑に逃げてもらう「避難確保計画」の策定遅れだ。

富士山噴火について話す山梨県富士山科学研究所の石峯主幹研究員(3月、山梨県富士河口湖町)=共同

火山噴火に関する避難確保計画は、14年の御嶽山(長野、岐阜両県)噴火を受け、活動火山対策特別措置法が改正。不特定多数の人が集まる「避難促進施設」を指定し、迅速な避難につなげる計画策定を義務付ける制度ができた。

避難誘導の責任者、情報伝達手段などを記載し、防災訓練の実施も求められる。指定事務は市町村が担う。

山小屋のほかレジャー施設などは計画策定を義務付けられているが、山梨県内では3市町村の対象69施設のうち、策定済みは3月末時点で33にとどまる。

指定されれば客足が遠のく風評被害の懸念もあり、3市町村が丁寧に施設側に対応していたのが一因となっている。

同協議会がマップ改定を踏まえ広域避難計画を見直すのは22年3月ごろ。自治体間をまたぐ人の避難行動の全体像が見えにくいのも個別施設の対応を難しくさせている。

内閣府によると、火山災害警戒地域となっている市町村は全国で延べ190。指定候補の施設と協議中などで指定事務が終わっていない自治体は1月末時点で103と半数超に及び、各地で対策の底上げが求められている。

山梨県鳴沢村の宿泊施設「富士緑の休暇村」の渡辺貴浩副支配人は「指定施設として個別の計画は作ったが、夏の観光シーズンには近くの道の駅なども含め大勢の観光客がいる。同時に逃げられるのか、不安が残る」と漏らす。

山梨県富士山科学研究所の石峯康浩・主幹研究員(火山学)は「民間事業者が単独で完璧な避難計画をつくるのは限界がある」と指摘。「まずは協議会が早期に実効性のある広域避難計画をつくることが重要だ」と話している。〔共同〕

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