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イラン映画のファルハディ監督「演劇経験が生きている」

「別離」「セールスマン」などの作品で高く評価され、イランを代表する映画監督の一人だ。ピンチにひんした人々の怒りや焦り、あがきなど人間くさい姿を巧みに描いてきた。「人には良いところも悪いところもあり、線を引いて善悪を描いたことはない。そうした登場人物に対しては同情や愛情も生まれる。簡単に善悪を判断しない、という気持ちに観客がなってくれれば私は満足」と語る。

公開中の新作「英雄の証明」の主人公も運命に翻弄される男だ。借金を返せなかった罪で服役中の彼は一時釈放中、婚約者が拾った金貨を換金して返済に充てようと画策するが、満足な価値がないと知ると一転して持ち主を捜し始める。「正直者の囚人」とたちまち祭り上げられるが、SNS(交流サイト)で流れた噂で足をすくわれる。

「持ち上げられ、あっという間に突き落とされる。こんな事態が起きるのもSNS時代ならでは。SNSは生活の助けになれば、めちゃくちゃにするところもある。ただこれはSNS批判の映画ではない。大きな問題は小さな間違いから始まっており、それは誰にでも起き得ることなんだ」。

13歳で映画づくりに親しみ監督を志すが、大学で演劇を学びプロとしてのスタートも演劇だった。「その経験がなければ今のように映画をつくることはできなかっただろう」と断言する。「世界中の戯曲を読んで脚本執筆に生かし、演劇と同じように時間をたっぷりかけて俳優と一緒に稽古する」。新作もブレヒトの戯曲に触発され、10カ月かけて稽古した。「脚本を書いている時が楽しい。何もないところからつくり出す面白さがある。難しく、楽しい時間だ」とほほ笑んだ。

(関原のり子)

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