凡庸な言動が着想の芽に 速水健朗氏が選ぶ一冊
サスペンス小説の書き方 パトリシア・ハイスミス著
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ヒッチコック監督『見知らぬ乗客』やクレマン監督『太陽がいっぱい』などの名作映画の原作で知られる小説家による創作術。初版刊行から半世紀を経ての初邦訳である。
見つけたアイディアを物語化し、ひとつの小説に仕上げるまでの経緯が紐解(ひもと)かれる。その中で著者は「アイディア」を複雑なものと捉えている。例えば、友人が話す「最高に刺激的な物語」を聞くことは「作家の想像力」にとってマイナス。むしろ、凡庸な人...