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香港映画を今こそ 在日マレーシア監督が映画祭企画

香港国家安全維持法(国安法)の施行や検閲強化など、香港映画を巡る表現の自由が狭まる中、日本未公開の秀作映画を上映する「香港映画祭2021」(香港映画祭実行委員会主催)が開かれている。キュレーターとして企画・作品選定を行った日本在住の映画監督、リム・カーワイ氏は「雨傘運動(民主化デモ)以降、現地では香港人としての意識が高まった。上映作品を通してこうした社会の変化も読み取れると思う」と話す。

上映作品は、中国返還が決まった1984年に発足した野球チームの奮闘を描く劇映画「最初の半歩」のほか、「十年」「時代革命」など社会派作品で知られるキウィ・チョウ監督による初のラブストーリー「夢の向こうに」、酒と女性に溺れる小説家を描いた「酒徒」、4つの短編からなるオムニバス「夜の香り」の4本。これらは日本で劇場公開や映画祭上映をしていない2010年以降の作品だ。

映画祭は11月27日の大阪を皮切りに始まり、当初はこのほかに3つを加えた計7本の映画を上映していたが、香港の権利元の都合で12月2日から3本の上映を中止するという異例の状況になった。実行委員会の発表によると、11月30日になって権利元から上映許可を出せなくなったとの連絡があり、実行委員会と協議を重ねたが、3本の作品については「上映中止せざるを得ないとの決断に至った」。その後、映画祭の最終開催地である東京のみ、別の香港映画3本が急きょ追加上映されることになったという。

中国の経済成長とともに、活動拠点を中国に移す監督や俳優らが相次ぎ、香港映画は勢いを失った。だが、香港政府が新人監督を対象にした助成金の支出を始め、2016年以降は「新人監督による香港人の物語を描いた映画が軒並み香港でヒットしている」とリム監督は指摘する。

マレーシア出身のリム監督は留学生として来日し、日本での企業勤務を経て、中国・北京電影学院監督コースに進んだ経歴を持つ。これまでに3本の映画を香港で撮るなど、香港映画界とのつながりも深い。雨傘運動をテーマにしたドキュメンタリーなどの独立系映画を日本に紹介しようと17年に「香港インディペンデント映画祭」を開催し、21年初夏に第2回を開催した。さらに香港映画の底力を知ってもらおうと、今回初めて「香港映画祭2021」を企画したという。リム監督は香港出身のスター俳優、ブルース・リーが残した名言「水になれ」を引き合いにしながら、「香港人はどんな環境にも対応できる柔軟性を持っている。スタイルを工夫しながら諦めずに表現していくと思う」と話す。

映画祭は12月9日まで京都・出町座で開催し、今後は神戸・元町映画館(11~17日)、名古屋・シネマスコーレ(18~24日)、東京・渋谷のユーロライブ(29~30日)まで続く。

(関原のり子)

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