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「合戦のリアル」を解き明かす 本郷和人が新刊

戦国時代の桶狭間、三方ケ原、有田中井手といった合戦は、ドラマや小説の通りだったとは限らない。「合戦には多くの農民が駆り出された。つまり交戦意欲の乏しい人が大部分を占めていたことになる。まずそこに視点を置かないと」。歴史学者の本郷和人が新刊「『合戦』の日本史」(中公新書ラクレ)で解説するのは「リアルな合戦」だ。食事と排せつが滞ればどうにもならず、死にたくない気持ちが強い。そんな生身の人間に目を向けて、戦術、戦略、兵站(へいたん)の観点から、奇襲は本当に有効なのか、なぜ城攻めをするのかなどを議論する。

専門は日本中世史。義経や謙信ら英雄たちの「失敗」に注目した「『失敗』の日本史」をはじめ、独自の切り口で日本史を解説する著書が多い。本書で「合戦」を取り上げたのは「戦後、日本の歴史研究において軍事史はある種のタブーとされてきた。そのため、どういう視点でどう分析するか方法論が確立していない」との思いからだ。「ロシアのウクライナ侵攻が示すように、現代も戦争はなくならない。ならば、戦争の正体を知っておかなくてはならない」と力を込める。

近年の日本史ブームともいえる流れを作った一人だ。「一般の方々に歴史を愛してもらうには(受験勉強のような)暗記ではなく、歴史に物語性を取り戻す必要がある。ただし戦前は、歴史の過剰な物語化が皇国史観につながった。科学と物語をどう両立するかが僕の課題。事件や時代を因果関係の中でとらえることが大切で、ある年に起きたことが、数十年後の何かと密接な結びつきがあったりする。それを見つけていくのが、物語を作ることではないかと考えています」と語った。

(桂星子)

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