「伏線」と「回収」 行動学者 細馬宏通
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「伏線がしっかり回収されている」「伏線回収が見事」といった表現を、物語の感想でよく見かける。苦手だ。
作品についてあれこれ考えることじたいが苦手なのではない。むしろわたしは細かいことをあれこれ考え過ぎてしまう方だし、1つの作品について1冊分の本を書いたりもしてきた。物語の筋道、すなわち「線」を辿(たど)ることは、考え方の基本とも言える。けれど「伏線回収」ということばとはなぜかソリが合わない。
「...
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