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就職内定率7割は本当か 「強者」主体、実態より上振れ

就活のリアル(海老原嗣生さん)

大手就職ナビなどで、6月1日時点の就職内定率の速報値が発表されている。しかし「就活強者」が主体の集計とみられ、一般学生全体の実態とは異なるようだ。

大手就職ナビサイトや人材ビジネス系の総合研究所から、大学新卒採用の内定状況速報が発表され、新聞やネットなどで取り上げられている。6月1日時点のその数字は、7割前後のものが多い。こうした数字を見て、就活生はいよいよ追い詰められていく。

私としては「勘弁してほしい」と声を大にして言いたい。こうした数字は基本、ナビサイトの利用者や人材ビジネスへの登録会員などがその母数となっている。就活に熱心で動き出しの早い内定強者が大半で、決して世の中の一般学生全体の姿を現しているわけではない。

ナビサイトというと、新卒採用の大半を牛耳っているかのように勘違いをしている人が多いのだが、実際は「かなり小さな」存在なのだ。

大手2大サイトといえども、それぞれを通して採用に至る学生は10万人程度。両者への重複登録も多いため、新卒就職総数40数万人のうち、多く見積もっても3~4割程度しかカバーしていない。このうちのさらに活動熱心でアンケートに前向きな学生たちが「7割内定」の実態なのだ。

厚生労働省と文部科学省が毎年発表している内定者調査の方が、まだ実態に近いだろう。こちらで見ると、近年は調査開始の10月1日時点でようやく7割前後に達するといった状況だ。ただ、これでも相当、実態よりも「上振れ」していると見ている。

理由は2つ。まず、この調査対象は「就職希望者」だけに限定される。就活をしていない人や、あきらめた人は含まれていない。

2つ目の理由は、調査対象の大学が就職に有利な国公立に偏っていること。対象の62大学のうち、国立が21校、公立が3校で私立は38校。国公立で全体の4割弱となる。全大学に占める国公立の割合の2割強よりも相当高い。だからこの調査とて、内定率は相当上振れしている。にもかかわらず、7割前後に達するのは10月1日時点となっているのだ。

私も仕事のうえで、大手就職ナビとは遠い間柄ではない。だから、関係者に会うたびに、「こうした無為に就活生を追い詰めるような発表は、表現にもう少し注意すべきだ」と訴えている。就活生の周りにいる大人たち、教職員や親御さんはぜひ、この辺りの実情を理解していただきたい。

ナビサイトのデータの活用法は「一部の強者」についての情報だと割り切ってほしい。そのうえで、彼らはあくまで炭鉱のカナリアであり、過去のデータと比較をして「去年や例年と比べて、今年の就活の動きにどんな変化があるのか」を見るために使ってほしい。

間違っても、これを一般的な平均と誤解して、内定がまだ出ていない学生の尻たたきをするような行為には出ないでいただきたい。(雇用ジャーナリスト)

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