リッカルド・ムーティ 私の履歴書(24)作品に向き合う
指揮者
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世界に蔓延(まんえん)した新型コロナのせいで数多くのコンサートやオペラ上演が延期、あるいは中止になり、音楽家は大きな打撃を受けた。私もヨーロッパやシカゴでスケジュールの大幅な変更を余儀なくされた。だが、逆にスコアに向き合う時間ができた。演奏ができないなら、一人勉強するしかない。私の前にはベートーヴェンの大作「ミサ・ソレムニス」がエベレストのようにそびえていた。
この作品を勉強し始めたのはもう30...
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イタリアの指揮者、リッカルド・ムーティさんは音楽界で今や数少ない世界的巨匠として活躍中です。頻繁に訪れる日本での思い出や若手音楽家への言葉、モーツァルトやヴェルディの作品論、指揮者に何が求められるかといったリーダー論がたっぷり記されます。映画音楽で有名なニーノ・ロータ、カラヤンやピアニストのリヒテル、カルロス・クライバーとの交友、スカラ座やウィーン・フィルとのエピソードなど音楽ファンならずとも興味深いドラマが続き、エリザベス英女王も登場します。