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芥川賞の高瀬隼子「ムカつきを小説ですくいとれたら」

「つらかったり、恐ろしかったり、ムカついたりすることを小説ですくいとれたら」。職場における人間関係のモヤモヤを描いた作品「おいしいごはんが食べられますように」で「無縁と思っていた」芥川賞に選ばれた。

ある会社の支店が舞台。女性社員「芦川」は体が弱く仕事を休みがちだが、手作りの菓子をふるまい、職場ではみんなに守られている。一方、仕事をこなせる後輩女性「押尾」は割を食っている。押尾は芦川と職場恋愛している男性社員の「二谷」に「わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」と持ちかける。

初めて芥川賞候補となった前作「水たまりで息をする」では、風呂に入らなくなった夫と、それを必ずしも否定しない妻の話を書いた。「弱い人に寄り添う点が良いと言っていただく声があったが、(受賞作では)逆に我慢してしまう側の人たちの内面にあるムカつきを描こう」と考えた。

自身も10年以上、事務職として働いている。受賞作は「勤め先を舞台にはしていない」としつつも「友人関係は価値観が合う人だけで作られることが多いが、職場は年代もばらばらの人と毎日顔を合わせることになる。他者との関わりを描くに当たっては社会人経験が生きた」と振り返る。

愛媛県出身。子供の頃から作家になりたいと思っていた。立命館大学卒業後も、文芸サークル仲間でつくる同人誌で書き続け、自作への忌憚(きたん)のない意見で腕が磨かれた。それが2019年、31歳での作家デビューにつながった。

同人には「これからも率直な感想を言ってほしいし、みんなの作品も読んでいきたい」。同人誌を売る文学フリマにも「参加を続けたい」と笑顔をみせた。

(西原幹喜)

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