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直木賞の窪美澄さん コロナ時代の日常、繊細な短編集に

20日に選考会が開かれた第167回直木賞は窪美澄の短編集「夜に星を放つ」に決まった。新型コロナウイルス禍の生活を描きつつ、人々の内面に丁寧に光を当てた手腕が評価された。コロナ禍をテーマに据えた作品の直木賞は初めて。

選考委員の林真理子は「コロナから逃げていないことは重要。この時代を生きたとき、どんな小説が残るかを考えると、やはりコロナを逃れられない」と指摘した。制約下の生活が2年を超えて「非常」が「日常」となる中、作家の視点も変化し、直木賞として評価される作品に結実した。

星をモチーフにした5編からなる短編小説だ。冒頭の「真夜中のアボカド」では、婚活アプリで出会った恋人や、早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、コロナ禍の人間関係や心の揺らぎを繊細に描写した。

窪は「年下の友人たちが婚活アプリにはまった。コロナだからみんな寂しくて、心のよりどころを求めているのかな」と話し、この2年あまりで人間関係が変質したとみている。林は「コロナを真正面に取り上げるのではなく、日常生活の中で短編小説にした。これだけひとつひとつが独立して個性的なものを書けるということは素晴らしい」と評価した。

対面でのコミュニケーションが減り、ストレスが増す中で、他人をネット上などで攻撃する風潮は強まる。本書では育児放棄などの問題行動が描かれるが、その背景まで思いが及び、絶対的な悪としては描かない。「星は照らされて光るが影の部分もある。人間も多面的で見る角度によって違う」と窪は強調する。

昨年、長く住んだ東京・杉並から、ロードサイド店が立ち並ぶ八王子の郊外に引っ越した。「高い所から人を見ず、腰を低くして人々の生活を書きたい」と今後の抱負を語った。

(棗田将吾)

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