アクアライン「海ほたる」は何県? 東京の道は謎だらけ
動画で「東京ふしぎ探検隊」まとめ読み
東京湾アクアラインの「海ほたる」は東京都か千葉県か、それとも神奈川県か。国道1号なのに「第二京浜」と呼ぶのはなぜか。第三京浜はなぜ、世田谷区の玉川インターチェンジという中途半端な場所で止まっているのか――。東京の道路について考えてみると、名前やルートなどを巡る謎が次々と浮かんでくる。連載コラム「東京ふしぎ探検隊」の中から、道路にまつわる「ふしぎ」を集めてみた。
アクアラインの行政管轄、開通前に関係5自治体が協定結ぶ
川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアライン。豪華客船をイメージしたパーキングエリア(PA)「海ほたる」は東京湾上にある。火災が発生したときの管轄はどうなっているのだろうか。PA上のサービスや飲食店の許認可、固定資産税の課税はどこの自治体が行っているのか。
アクアラインは開通前、千葉県、木更津市、神奈川県、川崎市、東京都の関係5自治体で行政管轄区域を決める協定を結んだ。その内容は――。
東日本高速道路(NEXCO東日本)の担当者と一緒にアクアライン内部を歩きながら、アクアライン、そして「海ほたる」の秘密を探った。

国道1号なのに「第二京浜」の謎
東京・日本橋から横浜市、静岡市、名古屋市などを経て大阪市に至る日本の大動脈、国道1号線。JR五反田駅周辺から横浜までの間は、「第二京浜国道」と呼ばれている。

では第一京浜はどこにあるかというと、国道1号より南側を通る国道15号が「第一京浜国道」だ。こちらは新橋から横浜市までの間の通称となっている。
第一京浜のことを「イチコク」と呼ぶ人もいる。第一京浜国道だから「イチコク」というわけだ。第二京浜は「ニコク」だとか。国道15号がイチコクで、国道1号がニコクとは何ともややこしい。
名前がねじれた背景には、明治から複数回にわたって行われた国道の整備・再編がある。歩行者から自動車へと重心が移っていく国道の歴史が、名前の向こうに透けて見える。
第三京浜の不幸な歴史 東急田園都市線と因縁も
東京と横浜を結ぶ有料道路、第三京浜。日本初の6車線ある自動車専用道路で、走ってみると広くて快適だ。東京側の入り口は玉川インターチェンジで、世田谷区にある。環状8号線(環八)と接続しているものの、首都高速とはつながっていない。これほど快適な道路なのになぜ中途半端な場所で止まっているのか。

この第三京浜、完成に至るまでには複雑な経過をたどった。建設の経緯を記した「第三京浜道路工事報告」を読むと、首都高への接続を強く意識していたことがうかがえる。玉川にインターチェンジを設けたのは工事のしやすさに加え、現在の首都高2号目黒線、3号渋谷線のどちらかと将来的に接続することを想定していたのだ。
だが結局、東名は用賀が起点となり、首都高渋谷線は用賀へ向かった。首都高目黒線と第三京浜を接続させる案はその後も審議されたが、道路の幅員が確保できないなど課題を克服できず、実現には至らなかった。こうして第三京浜の起点である玉川インターは取り残される形となり、中途半端な道路となったのだ。
この第三京浜、東急電鉄の田園都市線と深い関わりがあった。関係者が残した証言から、その因縁を探った。
日本最強の郊外道路、国道16号の秘密
東京の中心部から約30キロの外周を走る環状道路、国道16号。神奈川県の三浦半島から横浜、東京都の町田、八王子を抜けて、埼玉県の川越、春日部を経て千葉県の房総半島まで。実延長は326キロにもなる。この国道16号について東京工業大学教授の柳瀬博一さんは「日本最強の郊外道路、日本を創った道」と指摘する。いったいどういうことなのか。

国道16号はよく、「典型的な郊外」といわれる。ブックオフの創業地や日本トイザらスが初めて単独で出した店舗が沿線にあり、大型商業施設も林立している。柳瀬さんはこうした特徴を持つに至った背景に、地形的特徴を挙げる。
さらに国道16号は日本の音楽文化の「ゆりかご」にもなったという。米軍関連施設が周辺に集まっていることが影響した。これもまた、地形的特徴から導かれた必然だと柳瀬さんは語る。
国道16号を巡る「ふしぎ」に迫った。
(河尻定、塚本直樹、高橋丈三郎)
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)
鉄道の未成線から巨大ターミナル駅の歴史や国道の謎など、誰かに話したくなる雑学やうんちくを日経記者が「ふしぎ探検隊」として調べます。
関連企業・業界