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自由狭まる香港映画、日本を起点に世界へ

表現の自由が狭まりつつある香港で、若者たちが自由を求めた歴史を描く香港と日本の合作映画「BlueIsland 憂鬱之島」の制作が進んでいる。近未来の香港の悪夢を描いてヒットした「十年」(2015年)のプロデューサーら、香港の映画人たちが集まり17年から撮影を開始した。普通選挙を求めるデモ「雨傘運動」を経て20年には「香港国家安全維持法」が施行されるなど、香港の自由を巡る環境は激変している。香港側のプロデューサーのひとりで、映画「地厚天高」(17年)を手がけたピーター・ヤム氏は「クリエーターとして自分の役割を果たす。私たちの使命は映画。映画を用いて今日の色々な出来事を記録することは重要な意味を持つと信じている」と話す。

映画では文化大革命からの避難、反植民地闘争など1960~80年代の香港で自由を求めた当時の若者と、民主化運動に動いた現代の若者をドキュメンタリーとドラマを融合させながら描く。「60~80年代に自由を求めたのも庶民だった。(過去と現在で)共通したもの、異なる部分を映画で浮き彫りにしたい。かつての若者の記憶は今日の若者の助けになるかもしれない」とヤム氏は語る。監督はドキュメンタリー映画「乱世備忘 僕らの雨傘運動」のチャン・ジーウン氏がつとめる。

香港側からの支援要請で、2019年から日本の映画配給会社、太秦の小林三四郎社長と馬奈木厳太郎弁護士が共同製作プロデューサーに名を連ねた。「香港の社会が想像を超えたスピードで大きく変化し、自由の世界が狭められているという現実を目の当たりにした」と小林氏。「今の状況を考えるとこの作品が香港で上映されることはかなり困難と予想される。私たちとしてはミニシアターを多く抱える日本で上映し、日本がこの作品の世界展開の(中継地となる)ハブの役目を担いたいと思っている」と話す。

かつての香港を再現するための費用がかさんだ上、新型コロナウイルス禍で撮影が予定より9カ月長引いた影響で映画の製作資金が不足。今年1月から5月5日まで、日本でもクラウドファンディングを実施中だ。ヤム氏は「いろんな場所からいろんな人がやってきてごちゃごちゃしているのが香港の素晴らしいところ。私たち香港人はここを大切な部分と思っている。私は今年で48歳。年齢を重ね、若者の大切さを再認識した。クリエーターとして引き続き映画を撮り、我々の努力で素晴らしい香港を残したい」と話している。映画は21年秋、日本公開予定という。

(関原のり子)

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