T-BOLAN、28年ぶりにアルバム「ファンに愛届ける」

1990年代に活躍した4人組ロックバンド、T-BOLANが28年ぶりのオリジナルアルバム「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」を発表した。ボーカルの森友嵐士は「ファンへの感謝を、作品という形で届けたかった」と語る。
T-BOLANは「離したくはない」などのヒット曲を放つが、森友の心因性発声障害に伴い99年に解散した。2012年に再結成を果たすも、メンバーそれぞれの挑戦のためとして14年に活動休止していた。その後、ベースの上野博文がくも膜下出血で緊急入院し、リハビリの目標になればと17年に再始動した。
「すべては〝流れ〟」。森友はそう振り返る。「活動休止も上野が倒れたことも、それぞれ意味があった。14年に活動を締めくくったのは、メンバーそれぞれにとって何が後悔のない選択か考えた結果だった。そのとき目指していたものにはたどり着いていないかもしれないが、(上野のためにライブを開催することになり)もう再結成してもいいんじゃないかと神様から言われているような気がした」
アルバムタイトルの「愛の爆弾」は、物理学者のアルベルト・アインシュタインが晩年に娘に残した手紙の中に出てくるとされる言葉。新型コロナウイルス感染症の流行やロシアによるウクライナ侵攻など暗いニュースが続くなか、「こんな時代だからこそ、愛というテーマが浮かんだ。ネガティブな感情のスパイラルに陥るのではなく、相手を思いやることから答えを探せるように、それぞれが選択を見直すときだ」というメッセージを込めた。
メンバーは50代半ばを迎え、21年にはドラムの青木和義が家業を継ぐために活動を休止するなど、それぞれ岐路に立つ。それでも「99年に理由も告げぬまま解散したにもかかわらず、23年ぶりのツアーでみんなが集まってくれたことが忘れられない」と森友。「残された人生を使って、ファン全員と会いたい」と意気込んでいる。
(北村光)