ライゾマティクス 最先端技術とアートを融合し未来提示

主宰の真鍋大度と石橋素を中心に、最先端技術とアートを融合させてきたメディアアーティスト集団だ。映像を使った身体表現やデータの可視化など様々な表現を手がける。真鍋が東京理科大学やその後学んだIAMAS(国際情報科学芸術アカデミー)の元同級生で立ち上げ、石橋が合流。現在は40人ほどのメンバーが所属する。設立から15周年を迎え、東京都現代美術館で個展「ライゾマティクス_マルティプレックス」(6月20日まで)を開催中だ。
最大の特徴はソフトだけではなく、表現を実現するためのハードもすべて自分たちで製作する点だ。「コンピューターサイエンスやシステム制御、建築、グラフィックデザインなど様々な専門を持つ人が集まっている」(石橋)という。活動範囲は広く、ビョークなどのアーティストや、狂言師の野村萬斎らとの協業にも取り組んできた。真鍋は「データを用いれば、様々なジャンルと手を結ぶことができる。アーティスト自身が気づかなかった魅力も提示できる」と話す。
現代では、膨大な情報が飛び交う。これらを可視化するのもスタイルだ。「traders」(13年)は、リアルタイムで取得した株売買の様子を音と映像に変換したインスタレーション。社会に浸透し始めたAIの動きを可視化し、未来を提示してみせた。「現代美術作家は作品で社会を風刺するが、自分たちは実際にシステムを作り、盲点や可能性を現実で指摘できる」(真鍋)。表現は実証実験の性質も帯びる。石橋は「15年でテクノロジーも変化し、社会も変わった。技術がもたらす動きと向き合ってやっていきたい」。(新型コロナウイルス対応のため、展覧会は5月11日まで休止中)