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橋本治が残した「鈍器本」 様々な要素含む総合小説

分厚くて手に取るとずっしり重い書籍は「鈍器本」と呼ばれる。9月下旬に出た作家、橋本治の長編小説「人工島戦記」(ホーム社発行、集英社発売、10780円)は1370㌻(巻末の「『人工島戦記』人名地名その他ウソ八百辞典」含む)と立派な鈍器本だ。橋本は2019年に70歳で亡くなっており、未完での刊行となった。大学生たちを主人公とする青春小説、そして架空の街を舞台とする都市小説、さらに20世紀を描いた現代史小説でもある総合小説で、著者の代表作の一つといえるだろう。

舞台は「千州最大の都市である平野県比良野市」。市長主導で湾を埋め立て人工島を造る計画が進んでいることを知った「千州大学」2年生のテツオとキイチは、新たなかたちでの反対運動をめざす。1993年、2人が結成した「人工島同好会」は徐々に仲間を増やしていく。物語では街の歴史や住人の人生が細かく語られる。

同作は93~94年、集英社の雑誌「小説すばる」に連載された小説が原型。「当初は『学生が学園祭のようなノリでデモのできる状況を描きたい』と話されていた」と当時の担当編集者で現ホーム社常務の遅塚久美子氏は振り返る。その後、大幅改稿も含めて加筆、単行本の原稿量は雑誌掲載時の9倍近くに。読みごたえたっぷりの鈍器本となった。

担当を引き継いだホーム社の高木梓氏によれば「亡くなる数カ月前に刊行に向けた打ち合わせする予定だったが、体調悪化で実現しなかった」という。その後、遺族の了承を得て刊行が実現。「未完は残念ですが、続きは読者の方が想像していただきたい」と遅塚氏は話す。

(中野稔)

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