LGBT・鬼滅の刃…百科事典「ポプラディア」が改訂新版

ポプラ社は2021年11月、小中高校生向けの総合百科事典「ポプラディア」を大幅改訂した第3版(全18巻)を刊行した。10年ぶりの改訂となる今回は教育現場の声をすくい上げ、「LGBT」「働き方改革」「マイクロプラスチック」など6500項目を追加し、ニュースの理解に役立つ内容にした。またフォントや紙質を変えるとともに軽量化し、子供たちが使いやすい仕様になっている。
学習とは関係のない言葉はこれまで取り上げなかったというが、「子供が毎日手にする『ランドセル』などの言葉も入れてほしいという教育現場からの要望もあり、積極的に子供にとって身近な言葉も追加した」と統括編集長の山口竜也氏。「黒板」「パンナコッタ」「鬼滅の刃」など子供が日々目にする言葉も加え、親しみやすくリニューアルしている。
旧版では1巻あたりの重さは1500㌘だったが、今回は巻数を6巻増やすかわりに1000㌘まで軽くした。「教師や図書館の司書から『子供が片手で持てない』『重くて巻数が少ないよりは巻数が多くて軽いほうがいい』といった声があり、改善した」(山口編集長)。小中学校の授業では生徒を班に分けて調べ物するケースもあり、巻数が多い方が便利だという。
視覚障害者も読みやすいユニバーサルデザインも特徴だ。真っ白な紙に書かれた文字を読むのが難しい読者に配慮して、光の反射を抑える暖色の紙を採用している。文字もゴシック体や教科書体ではなく、弱視や読み書き障害のある子供にも読みやすいフォントを使っている。
文部科学省の統計によると、第2版が刊行された11年から21年にかけて全国の小中学校の数は3万2472校から2万9412校に減少している。少子化は逆風だが、中学校や地域の図書館などを中心に販売を伸ばしており、このほど重版も決まった。教育現場のニーズをつかんだ編集で、「紙の事典」が底力を見せている。
(篠原皐佑)