/

「ビデオ彫刻」の先駆性 久保田成子の大規模回顧展

米国に渡り、映像と立体を組み合わせた「ビデオ彫刻」で先駆的な表現を開拓した美術家、久保田成子(しげこ)(1937~2015年)の回顧展「Viva Video!  久保田成子展」が東京都現代美術館で開かれている。没後初、国内では約30年ぶりになる大型展。夫でメディア・アートの巨匠ナム・ジュン・パイクの陰に隠れがちだった仕事を浮かび上がらせ、男性に比べ正当な評価がされにくい女性作家に光を当てた意欲的な企画だ。

久保田は新潟に生まれ、東京教育大学(現筑波大学)で彫塑を学んだ。読売アンデパンダン展への出品やパフォーマンスなどにも挑んだが、64年に渡米し前衛芸術集団「フルクサス」で活動。70年ごろから小型ビデオカメラを使った映像作品に取り組むようになった。

展示は日本初公開作品や資料類を含め約170点。その表現の特性は映像表現と水や山といった自然との調和を探った独創性にある。天井からつり下げた3台のモニターの映像を水を張った金属彫刻に映し出した「河」はその代表例のひとつ。また、いくつもの突起の底に映像を埋め込んだ「韓国の墓」は、のぞき込んだりかがみ込んだりしないと映像を見ることができない仕組みで、作品の一部に見る者を取り込む。フィギュアスケートの銀メダリスト、伊藤みどり元選手をモチーフにした「スケート選手」はモニターが埋め込まれた人型の彫刻がカラフルな光を放ちながら回転する。空間全体をも取り込んで表現した作品だ。

回顧展は21年3月から新潟、大阪と巡回した。企画を発案した新潟県立近代美術館の浜田真由美学芸員は、米国に生前の久保田を訪ねるなど10年余り前から準備を始め、遺族や関係者へのインタビュー、大量の資料収集・整理をこつこつと進めてきた。久保田について浜田氏は「実験的なメディア・アートと、彫刻という伝統的な造形を融合して新たな美的表現を生み出した」と話す。東京都現代美術館での展示は2月23日まで。

(木原まゆみ)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン