桃を煮るひと 作家・くどうれいん
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年に一度あるかないかの頻度で桃を砂糖で煮ることがある。桃というそれそのもので完璧においしい果物なのだから、なるべくは生でそのままいただきたいのだが、あまり味が無い桃にあたったときや、切り終えるまでに果汁がずいぶん出てしまいそうなほど熟していたり、茶色く傷んでいるときは煮ることにしている。煮て、濾(こ)して、桃シロップにして飲むヨーグルトで割るのが好きなのだ。もったりした飲むヨーグルトの中にすこし...
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