グリコの時間 作家・乗代雄介
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今回で担当が最後となるこのコラムもそうだけれど、仕事の原稿のほとんどは自宅マンションの一室で書いている。共用廊下に面した窓のある部屋で、時折、人の声や足音が聞こえてくる。
最近は、同じ階の小さな男の子がグリコにはまっているようだ。ジャンケンで勝った手に応じて決まった歩を進めることができるこの遊びを、私も小さい頃はずいぶんやった。勝ち負けは一つも覚えていないが、この世にグリコほどおもしろいものはな...
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