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第69期将棋王座戦 挑戦者決定トーナメント29日開幕

永瀬王座への挑戦権かけ16人が熱戦

昨年の五番勝負では、永瀬王座㊨が久保九段の挑戦を退け初防衛を果たした

永瀬拓矢王座(28)への挑戦者を決める第69期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)の挑戦者決定トーナメント(本戦)が29日開幕する。前期挑戦者の久保利明九段、渡辺明三冠、豊島将之二冠、藤井聡太二冠ら本戦シードの6人に本戦に向けた抱負を聞くとともに予選を勝ち上がった10人を紹介。精鋭ぞろいのトーナメントを永瀬王座が展望する。

久保利明九段(45) 昨年、永瀬王座とフルセットの激闘を演じた「さばきのアーティスト」。新たな工夫で振り飛車の世界を広げ続けている。「昨年は久しぶりのタイトル挑戦をすることができました。ただ最後の鍵を開けることまではかないませんでした。自分なりに足りない部分を強化してきたつもりです。しっかり準備し、昨年以上を目指してトーナメントに挑みたい」

渡辺明三冠(37) 名人・棋王・王将と現在、最多のタイトルを保持する第一人者。2011年、羽生九段の王座連覇記録を19で止めた。妻、伊奈めぐみさんによる漫画「将棋の渡辺くん」の主人公としても知られる。「広瀬さんとはタイトル戦で2回対戦があり、初戦から強敵を引きました。昨年は挑戦者決定戦での敗退でしたので、挑戦を目指します」

豊島将之二冠(30) 竜王・叡王を保持する4強の一角。昨年の永瀬王座との叡王戦は、持将棋(引き分け)2度を含む異例の「九番勝負」の死闘となった。「対局が少ないのが気になっていて調整が難しいので、王座戦が始まるのがありがたいです。三枚堂さんは勝率が高く、棋風は攻めが鋭い印象。目の前の一局に集中して納得いく将棋を指していければと思います」

藤井聡太二冠(18) 昨年、史上最年少17歳11カ月でタイトルを獲得したスーパースター。1月に高校を退学し将棋に専念、さらなる飛躍が期待される。永瀬王座とは練習将棋を指す間柄。「王座戦は初参加の66期にベスト4に進出できた、思い入れのある棋戦です。深浦九段は正統派で粘り強い棋風。初戦から厳しい戦いになりますが、挑戦を目指して頑張りたいと思います」

木村一基九段(47) 19年、史上最年長46歳3カ月で初タイトルを獲得し多くのファンの涙を誘った「中年の星」。粘り強い受けを得意とし、「千駄ケ谷の受け師」とも呼ばれる。「久しぶりの本戦です。表を見るとだいぶ若い人が多いと感じました。相手の澤田さんには分が悪く、初戦から難敵と当たったと思います。一局でも多く勝てるように頑張ります」

大橋貴洸六段(28) 「耀龍(ようりゅう)四間飛車」で20年度の升田幸三賞を受けた若手屈指の研究家。対局時のスーツにこだわり。「昨年末から調子が上向いてきて、良い状態で臨めると感じています。(初戦の)高崎七段は振り飛車をよく指されていて、さばきと粘りがうまい印象です。実績十分の方ばかりですが、昨年(ベスト4)以上を目指して頑張りたいと思います」

佐藤康光九段(51) 本戦出場16人の中では最年長。日本将棋連盟の会長も務めるベテランが15年ぶりの挑戦権獲得を目指す。

深浦康市九段(49) 王位3期の実績を誇る勝負強いファイター。王座戦はたびたび挑戦者決定戦に進むも五番勝負は未登場。初挑戦なるか。

飯島栄治八段(41) 升田賞を受けた「飯島流引き角戦法」で知られる研究家。羽生九段を破りベスト8に進んだ昨年に続く本戦入り。

広瀬章人八段(34) 竜王、王位の獲得経験を持つトップ棋士。鈴木大介九段らとともに、マージャンの強豪としても知られる。

稲葉陽八段(32) 名人挑戦経験を持つ関西の雄。豊島二冠らと「関西若手四天王」と呼ばれた時期も。年初に結婚。初の王座挑戦を目指す。

高崎一生七段(34) 現在では数少ない関東の振り飛車党。1次予選から7連勝でベスト8に進んだ09年以来、2度目の本戦入り。

澤田真吾七段(29) 20年度、14連勝で将棋大賞の連勝賞に輝いた関西の実力者。王座戦は初の本戦入り。熱心なプロレスファン。

三枚堂達也七段(27) 桂馬の扱いを得意とする若手居飛車党。王座戦は初の本戦。ユーモアあふれる解説も人気。高校では卓球部。

石井健太郎六段(29) 矢倉をはじめとした居飛車と、四間飛車を得意とするオールラウンダー。初の本戦入りとなった今期は大暴れしたい。

西田拓也五段(29) 関西の若手振り飛車党が、デビューから4年で初の本戦入り。「ポケットモンスター」の熱心なファン。

永瀬王座、藤井二冠らを本命視

永瀬拓矢王座に本戦トーナメントの展望を聞いた。

――トーナメント表の印象は。

藤井二冠と豊島二冠が同じ側の山に入ったんですね。やはり、タイトルホルダーがどこにいるかは最初に目が行きます。どこも強豪ばかりですが、1回戦から渡辺三冠対広瀬八段というのは厳しい。全体に若手は多くなくて、地力のある人が安定して勝ち上がってきた印象です。

――挑戦者争いの本命は。

やはりタイトルホルダー3人でしょう。藤井二冠は昨年2つタイトルを取ったことで、今年は対局数が少なくなっている。春~夏に行われる棋聖、王位の防衛戦でどうエンジンがかかってくるか。エンジンがかからないところは見たことがないですが。

前期挑戦者の久保九段をはじめ、もちろん他のシードの方も充実している。大橋六段は、藤井二冠とプロ入り同期。藤井二冠の実績がすごすぎてそこまで注目されてこなかったところもありますが、勝率が高く結果を出し続けています。

――ダークホース的な存在は。

三枚堂七段です。もともと実力は高く、最近の調子もいい。1回戦、豊島二冠との対局は好勝負になるでしょう。

――今期は羽生善治九段が2次予選で敗れ、羽生九段の王座戦本戦連続出場(王座在位時含む)が30年で途絶えました。

2次予選準決勝の羽生九段対佐々木勇気七段戦(佐々木七段勝ち)は注目して見ていました。もっとも、他の棋戦では充実されているので、本戦に勝ち上がれなかったのはたまたまでしょう。

王座戦とは

羽生善治九段㊧は王座通算24期を誇る。第41期王座戦では谷川浩司王将(当時)の挑戦を受けた(1993年9月)

将棋界に8つあるタイトル戦の一つ。1952年、囲碁の王座戦と同時に日本経済新聞社が主催する棋戦として創設された。「王座戦」の名付け親は森下卓九段や深浦康市九段らの師匠、故・花村元司九段。将棋・囲碁とも同じ主催者が同じ名称のタイトル戦を継続して主催しているのは王座戦だけだ。

将棋では第18期から前年の覇者にトーナメントを勝ち抜いた挑戦者が挑む「挑戦制」が採用された。第31期にタイトル戦に昇格し、第32期から現行と同じ五番勝負で「王座」を決める。五番勝負は1日制で持ち時間は各5時間。挑戦者を決めるトーナメントも全て持ち時間各5時間で全棋士と女流棋士4人が参加する。

「永世七冠」の偉業を成し遂げ、国民栄誉賞を受けた羽生善治九段はタイトル通算99期を誇るが、最も多く制覇しているのが、この王座戦だ。王座通算24期は同一タイトル獲得の最多記録で、19連覇は同一タイトル連覇の最長記録。

テレビ愛知、藤井二冠対深浦九段戦を配信

テレビ愛知は5月6日に指される本戦1回戦、藤井聡太二冠対深浦康市九段戦の模様を午前10時からインターネット配信する。午後5時からは藤井二冠の師匠、杉本昌隆八段による大盤解説付きで配信。名古屋の放送局が運営する配信プラットフォーム「Locipo」(ロキポ、https://locipo.jp/)を通じ、全国で無料視聴できる。

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