「捨てる」を考えるデザイン 多摩美大が5社と協業

サステナブル(持続可能)な社会の実現にデザインは貢献できるのか。多摩美術大学が廃棄物処理大手のナカダイ(東京・品川)など5社と組み、プロジェクトを始めた。産業廃棄物から別の製品を作ったり、リサイクルしやすいデザインを考えたり。「使用後」を考えたものづくりの推進で、ゴミを減らし、資源が循環するモデルの構築を目指す。
ブックオフコーポレーションやプラスなど参加企業から廃棄資材や中古資材の提供を受け、多摩美大の学生がデザインを企画・提案する。第1弾として、ブックオフが廃棄予定のCD、DVDをペレット(粒)状のプラスチックにして再利用する道を模索する。同社は年間約600万点のCDなどを廃棄していて、再利用できれば大幅にごみを減らせる。
様々な製品を対象に、素材の統一や分解しやすい設計も考える。異なる材料を使ったり、ネジやクギを多用したりした製品は再利用に手間がかかるためだ。参加企業も広く募り、最終的に製品の設計・開発から廃棄物の回収まで、リユース、リサイクルを前提にモノを循環させる仕組みを構築したい考えだ。
SDGs(持続可能な開発目標)への社会的関心が高まり、企業にとって環境への取り組みは一層重要になっている。さらに中国が他国からの廃棄物受け入れを停止したことで「自由に捨てられない時代が来る」(ナカダイの中台澄之代表)。製品開発の上流から「捨て方」を見据えてデザインすることが求められる。
多摩美大は4月からリサイクルや廃材活用を見据えたデザインの企画に取り組んでいる。その過程を紹介する展覧会も6月に開いた。
(渡部泰成)