「作曲家の妻」クララ・シューマン 創作から演奏家へ
女性作曲家から見る音楽史(2) 桐朋学園大教授 玉川裕子
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「自ら創造する以上に素晴らしいことはない。ただ音の世界でのみ呼吸している忘我の時、たったそれだけのことなのに何と素敵(すてき)なのだろう。」
1853年、クララ・シューマンは、創作の最後の火が一瞬燃え上がった時、日記にこう記した。彼女は現代日本でおそらくもっとも知名度の高い女性作曲家だろう。しかし連載初回で取りあげたセシル・シャミナードやエセル・スマイス等、次世代の女性の同僚たちのように、「作曲...