エリザベス女王の70年 英王室と社会支えた変化の努力
君塚直隆・関東学院大教授
[有料会員限定]
急速に変化する現代世界において国民統合の要であり続けるためにこそ、君主や王室は時代に合わせて変わらなければならない。8日に96歳で亡くなった英国のエリザベス2世の言動には、「不変であるための変化」ともいうべき逆説めいた信念が見て取れる。近現代英国政治外交史が専門の君塚直隆・関東学院大教授に背景を聞いた。
在位70年を数えたエリザベス女王と王室は多様化が進む現代の英国社会に、依然とし

英国の女王エリザベス2世が2022年9月8日、滞在先の英北部スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。在位70年7カ月は歴代の同国君主で最長。第2次世界大戦後の英国史のほぼ全てを見守り、亡くなる直前まで精力的に公務をこなした。
女王は1926年、後の国王ジョージ6世の長女として生まれた。国王が52年2月に急死すると、25歳という若さで女王に即位。在位期間は世界の存命中の君主でも最長だった。6月には在位70周年を祝う祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」が行われた。