私が伝える みんなで調べる My Purposeまとめ読み

ネットやSNS(交流サイト)で誰もが発信できる時代。情報の送り手と受け手の境目は溶けています。女子高生編集長ゆえのストレートな取材で力を発揮したり、読者の反応がすぐ分かるプラットフォームを活用して一芸を究めたり。従来の枠にとどまらない意思表明に臨むZ世代ら若者の取り組みをまとめ読みで紹介します。
(1)社会経験の少なさこそ強み 女子高生編集長の「質問力」

ファッション誌や女性誌の売り物は、大手出版社などで長年経験を積んだ編集者の「目利き力」。ところが、あえて成長途上の女子高校生らの感性を前面に打ち出し、新商品・サービスの魅力から社会課題まで掘り下げているウェブマガジンがある。2015年にスタートした「EMMARY」(エマリー)。女子高生編集長のもと、記事の企画立案から取材・執筆まで10代が担う。これまでで最も長い1年4カ月にわたって編集長を務めたのが小浜桃奈さん(19)だ。
社会経験の少なさこそ強み 女子高生編集長の「質問力」
(2)好きが高じれば収益源に ネットが変えた「書く」仕事

自身が着る洋服を厳選し、1シーズン同じコーディネートで制服のように着回していく「制服化スタイリング」。noteの連載「自問自答ファッション通信」であきやあさみさんが提唱した。投稿を始めたきっかけは10年間勤めた百貨店を退職したこと。それまで1年に100着以上の洋服を購入し、家に服があふれていたが「自分らしさを表現できているのか」という疑問が常にあった。連載は瞬く間に注目を集め、現在は1万2千人超のフォロワーが彼女の発信を楽しみにしている。
好きが高じれば収益源に ネットが変えた「書く」仕事
(3)冷めていても政治を語る意味は Z世代、社会に意見表明

「若者で創る新聞社」をキャッチフレーズに2022年7月、上智大学新聞学科の学生らが中心となり、ニュースサイト「パラダイスポスト」(本社は東京・渋谷)を立ち上げた。大手メディアやSNS(交流サイト)などで関心を集めた時事問題への意見・提言を中心に、30歳以下であれば誰もが自由に記事を投稿できる。大学生で構成する編集部が審査した記事は、経済や医療、アート、ジェンダーなど多岐にわたる。発起人は同学科在学中の一城あやのさん(23)だ。
冷めていても政治を語る意味は Z世代、社会に意見表明

ネットで誰もが「発信」できる時代。10代の編集長が素朴な疑問で取材した記事が大勢の心を動かしたり、退職で自己を見つめ直した結果が執筆活動につながったり。書き手と読み手の境界が溶けつつある今、新たな発信者のパーパスに迫る。