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林真理子が新解釈 大正期の皇室縁談を小説に

最新刊「李王家の縁談」(文芸春秋)は、明治から昭和を生きた梨本宮(なしもとのみや)伊都子(いつこ)妃が、娘の縁談に奔走するさまを描いた歴史小説だ。かねて皇室に関心が高く、文献を読みあさっていただけに「一番の得意分野」と自信をのぞかせる。

佐賀を治めていた鍋島家出身の伊都子は美貌と賢さで知られた。長女方子(まさこ)を皇太子(後の昭和天皇)に嫁がせることがかなわず、日韓併合で日本の一部となり、皇族に準じる待遇となっていた朝鮮の李王家に嫁がせる大胆なアイデアをひらめく。作中では、嫌がる娘を「(ロミオとジュリエットのようなことは)小説でしかおこらない」「皇族に生まれたからにはそれにふさわしい結婚をしなくてはならないのです」などと説き伏せる。

皇室の結婚問題に狂騒する現代日本と重なるテーマだが「全くの偶然」と驚きを隠さない。取材は3年以上前から進め、2020年から執筆を始めた。伊都子妃は率直で行動力にあふれ、長女はしんが強く穏やか、次女はやんちゃというキャラクター設定は史実に照らしたもので、現在の皇室とは無関係だという。

執筆のきっかけは方子の縁談を主導したのが伊都子だという説を知ったこと。それまでに読んだ文献では、日韓融和のための政府の策略というのが通説だった。「歴史の見え方がかわる。伊都子妃は合理的なので、お金持ちだから『いいじゃん』と考えたのでしょう」。躍動感あふれる文章から女のしたたかさが浮かび上がるあたりは独壇場だ。

「白蓮れんれん」「西郷(せご)どん!」など歴史小説も得意とする。「密室での会話は作家の裁量に任されている。無味乾燥な資料から人間チックなことを書くのはすごく面白い」(はやし・まりこ=作家)

(佐々木宇蘭)

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