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東南アジア勢躍進 サッカーACL新時代、日本勢も奮闘

サッカージャーナリスト 大住良之

アジアのクラブ王者を決めるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)東地区、全5組のグループステージが終了し、16強による決勝トーナメント1回戦の組み合わせも決まった。

タイのクラブを導いたのは手倉森監督

東地区1回戦の組み合わせは、「大邱対全北(ともに韓国)」「BGパトゥム(タイ)対傑志(香港)」「ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)対浦和(日本)」「神戸対横浜M(ともに日本)」。

日本から3、韓国から2クラブが出場したほか、タイ、香港、マレーシアと、これまで上位に進出したことのない国からの進出が目を引く。ACLのグループステージは2020年まで東西それぞれ4グループ、計32クラブで行われていたが、昨年各5グループ、計40クラブに増やされた。その結果、こうした国々のプロサッカーが大きな刺激を受けているのだ。

12年間続いた「32チーム時代」は、タイのクラブが3回決勝トーナメントに進出したが、それ以外の東南アジアチームの進出は皆無で、グループステージ出場のチャンスもほとんどなかった。40クラブになった昨年も、タイのBGパトゥムが16強に進出しただけだったが、ことしは一挙に3クラブが勝ち上がった。マレーシアと香港のクラブは初めてのことだ。

22年大会の東地区のグループステージでは、ベトナムやシンガポールなど東南アジアのクラブの奮闘が目立った。どこもブラジル人など外国人選手が活躍し、監督にも、経験豊富な外国人を起用している。メルボルン・シティー(オーストラリア)と全南(韓国)を退けてG組首位で突破したBGパトゥムを率いるのは、16年リオデジャネイロ五輪代表チーム、ベガルタ仙台などを率いてきた手倉森誠監督である。そうした指導でそれぞれの国の選手たちも急速に進歩しており、アジアサッカーに新しい時代が到来しつつあることをうかがわせる。

中国、オーストラリア勢は全滅

一方、中国勢が21年に続いて惨敗を喫した。2010年代にいくつものクラブに莫大な資金が投入され、広州恒大(現在の広州FC)が2回にわたってACLを制覇、東アジア地区で最も成功してきたのが中国のクラブだ。今回も日本とともに4クラブ出場の可能性があったが、長春亜泰がプレーオフを、上海海港がグループステージを棄権して、出場は山東泰山と広州FCの2クラブのみ。ともに主力を送らず、若手主体のチームで、1勝もできずにグループ最下位。中国政府の方針でクラブ財政が厳しくなり、新型コロナウイルスの影響もあって、昨年来、中国のクラブは勝てていない。

決勝トーナメント常連だったオーストラリアのクラブも、ことしはひとつもグループを突破できなかった。東南アジア勢の勢いに負けた。

そんななか、Jリーグの4クラブはできる限りの戦いを見せた。浦和と神戸が入ったF組とJ組はタイが舞台、横浜Mはベトナム、そして川崎はマレーシアと、すべて高温多湿の東南アジアでの「中2日の6連戦」という過酷な試合条件のなか、どのチームも選手を入れ替えながらハイレベルな戦いを貫いた。

I組の川崎は、グループで首位になったジョホールとは1分け1勝(0-0、5-0)。しかし3位となった蔚山(韓国)に1分け1敗(1-1、2-3)と不覚をとったのが響き、グループ2位だったものの、2位5チーム同士の順位比較(5チーム中3チームが決勝トーナメント進出)で敗退となった。4位広州には8-0、1-0と連勝したのだが、J組が上海海港の棄権で3チームになったため、2位チームの比較の際には、4位チームとの成績は無視された。

F組の浦和はDFショルツが大奮闘し、新加入のストライカー、モーベルグとシャルクが活躍、2位ながら決勝トーナメント進出を果たした。しかし相手はジョホール。蔚山を2試合連続2-1で下し、川崎とも1試合は0-0だった実力は無視できない。メキシコ人のモラ監督の下、チームは戦闘力が高く。マレーシア・サッカー史上初の決勝トーナメント進出でモチベーションも高い。

組み合わせにも恵まれた神戸

H組の横浜MとJ組の神戸は、苦しみながらグループ1位を確保。ACL前のJリーグで無勝利、監督交代でロティーナ監督が就任したばかりで心配された神戸だったが、上海海港の棄権で初戦がなくなり、そこで調整期間を確保できたことが幸いだった。しかしこの2クラブが1回戦で対決してしまうのは、18年の鹿島アントラーズ以来のACL優勝を目指す日本のファンとしては残念なところだ。

東地区の決勝トーナメント1回戦、準々決勝、準決勝は、すべて一発勝負で、8月18日から25日にかけて集中開催される。西地区の準決勝勝者と対戦する決勝戦は来年2月にホームアンドアウェーで行われる予定だ。日本から準々決勝に進めるのは最大2クラブ。準々決勝の組み合わせは1回戦終了後に抽選で決まる。

グループステージは東南アジアでの開催だったが、8月の決勝トーナメントは日本で開催できないだろうか。この期間、この3チームが戦うJリーグの第26、27節は9月と10月に延期され、ホームスタジアムは空いているはずなのだが……。

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