lynch.が10周年の集大成 「常に変化してきた」

ロックバンドのlynch.(リンチ)がメジャーデビュー10周年を迎え、10年間の全アルバム、シングルとミュージックビデオを収めたボックスセット「2011-2020 COMPLETE BOX」を12月27日に発表する。ボーカルの葉月(はづき、写真中央)は「劇的ではなくても、前作より良いものを求めて常に変化してきた」と振り返る。
重低音を強調した直情的な激しいサウンドと、力強いシャウトから澄んだ高音まで多彩な声を操る葉月のボーカルがバンドの特徴だ。ギターの玲央(れお、同右端)は「地に足をつけて、長く続けられるバンドをやりたいと結成した。一つ一つ階段を上っていたら、振り返るとメジャーデビューから10年がたっていた」と話す。
04年に名古屋で結成した。いわゆるビジュアル系バンドとして出発したが「ビジュアル系との違いを常に探っていた」と葉月は明かす。ノーメークでステージに上がったり、英語詞を多用したりと試行錯誤を繰り返すうちに「ジャンルはどう捉えられてもいい。培ってきたものを否定せず、武器として研ぎ澄ませていくしかない」(同)と考えるようになった。
年に50本ほどのライブを続けてきた。「自分たちの魅力はライブにある。演奏がうまいバンドはたくさんいるが、僕らの強みはメンバー全員がステージに上がったときに説得力があること」と葉月は胸を張る。
そんな彼らにとって、昨年来の新型コロナウイルス禍の打撃は大きかった。21年2月に予定していたバンド史上初めての日本武道館公演は中止となった。玲央は「僕たち以上に、ファンの方々の喪失感が大きかったのではないか。普段の生活で、あんなに大きな音が鳴る空間はほかにない。今後は僕たちの日常を少しずつ取り戻していきたい」と語った。
(北村光)