骨になっても 作家・朝吹真理子
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はじめて生きもののお弔いをしたのは、たけのこだった。近くの竹林に、たけのこが生えていて、どんどん大きくなるのがおもしろいので、たけちゃんと呼んで可愛(かわい)がっていた。名前をつけると、たった一つだけのたけのこだという親密さがわいてくる。たけちゃんは背が伸びるにつれどれなのかいまひとつわからなくなっていたが、若そうな竹をみてはさすった。
ある日家に帰ると小さなトラックが止まっていて、植木屋さんが...
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