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本屋大賞に町田そのこ 新鋭作家が書店員魅了

本屋大賞を受賞した町田そのこ

全国の書店員が最も売りたい本を選ぶ「2021年本屋大賞」が14日発表され、町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」(中央公論新社)が大賞に選ばれた。町田は17年にデビューした新鋭作家で、初の長編小説となる本作で栄冠を射止めた。主人公は家族に虐げられた過去を持ち、田舎町に移り住んだ若い女性・貴瑚(きこ)。言葉を発さない少年と出会い、彼もまた虐待を受けて苦しんでいると知る。少年を救うために何ができるか。考え行動するなかで、彼女自身の心の傷も明らかになっていく。

「気になる問題を小説に落とし込んで整理している」と創作手法について語る町田。自身が子育て中で「家事をしている手をぱっと止めて、見てしまう」というニュースのひとつが児童虐待だという。だからこそ、物語を表面的なハッピーエンドで締めくくることはできなかった。「この問題を扱うからには現実的な解決策を見つけるんだ、という気持ちだった。法律的にも子どもを守るにはどうしたらいいのか調べ、悩んだ」

そんな真摯な筆致と起伏に富んだストーリーが多くの人の胸を打つ。20年4月の発売以来15刷34万部と順調に版を重ねている。「これまで重版がかかったことがない」という町田にとって出世作となった。

書店の後押しも大きい。町田は20年にツイッターアカウントを開設して本作のゲラを読んでくれる書店員を募集し、作品に魅了された「応援者」の輪が発売前から育まれていた。刊行当時は新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言下で休業中の書店も多く、SNSを通じて本書を薦め合う動きもみられた、と本屋大賞実行委員会理事の内田剛氏は指摘する。

20年にはボーイズラブ小説で長く活動していた凪良ゆうが「流浪の月」(東京創元社)で受賞し、一躍注目の存在となった。今年もまた、本作で作家を知った読者は多いだろう。04年に始まった本屋大賞はセールス面では既に芥川賞、直木賞をしのぐ影響力があるが、才能を発掘して世に送り出す場としても深化を遂げている。

(桂星子)

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