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映画「オードリー・ヘプバーン」 女優の知られざる素顔

「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」などで知られる女優オードリー・ヘプバーン。その人生に迫ったドキュメンタリー映画「オードリー・ヘプバーン」が公開中だ。両親の愛に恵まれなかった子ども時代から、ユニセフの親善大使として世界の紛争地を訪ねた晩年まで、これまであまり語られてこなかった側面を、家族や友人らの証言を交えて振り返る。1994年生まれの若手、ヘレナ・コーン監督が家族や知人らに数百時間に及ぶインタビューを重ね、素顔を浮かび上がらせた。

オードリーは1929年、ベルギーで貴族の血を引く家庭に生まれた。ただ、ナチスに傾倒した父は家族を置き去りにし、両親は離婚する。第2次世界大戦下を過ごしたオランダでの少女時代には、戦火におびえ、食糧難による飢えにも直面した。バレエダンサーを目指していたが、戦争によって練習を続けることができず、夢をあきらめた経験を持つ。

「オードリーに関するドキュメンタリーはテレビなどで作られているが、純粋で無邪気な存在として描かれることが多かった。しかし、実際には複雑な過去があり、心に深い傷を負っていた。外見や演技力に自信がなく、常に悩んでいたこともわかった。そうした影の側面も拾い上げたいと思った」とコーン監督は語る。映画では本人の貴重なインタビューのほか、息子や孫が、これまで家族にしか明かされていなかった苦悩を語る。

映画界で大きな注目を集めても、オードリーはプライベートな生活を大切にした。つつましい家に住み、子どもが産まれてからは家族を優先した暮らしを送る。ただ、結婚生活には恵まれず、2度の離婚を経験した。ユニセフの親善大使として飢餓に苦しむ貧困国の子どもたちへの支援を始めたのは88年。スーダンやソマリアなど危険な地域にも足を運んだ。

「戦争体験や両親からの愛を十分に受けられなかった経験から、まず自ら愛を与えることが必要だと考えたのだと思う。トラウマを乗り越え、思いやりを持って生きた彼女は私にとってはヒーローのような存在」とコーン監督。「ひとりの女優というだけでなく、時代を超えて多くの人に愛を伝えた。そんな姿を多くの人に知ってほしい」

(木原まゆみ)

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