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「海外ロケができない」大河ドラマの新手は

新型コロナウイルス感染の収束が見えず、テレビドラマの撮影現場にも大きな影響を及ぼしている。大河ドラマ「青天を衝け」(NHK)は、フランス・パリで予定していたロケ撮影を断念。VFX(視覚効果)を駆使して現地にいるような映像をつくり、7月11日からパリ編として放送している。苦肉の策ではあるが、コロナ下におけるドラマ撮影の先例になるかもしれない。

今年の大河は「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一(吉沢亮)が主人公。農民から幕臣となった栄一は徳川慶喜(草彅剛)の弟・昭武(板垣李光人)の随員としてパリ万博に赴き、西洋の先端技術に触れ、民が力を発揮する社会に驚く。栄一の転機となった重要な場面だ。しかし、2020年にウイルスの感染拡大によってフランス全土がロックダウン(都市封鎖)すると、同年11月初めには現地撮影なしでパリ編の制作を決めたという。

VFXで代替できるもの、できないものを精査してVFXであればどのような描き方ができるかを考え、フランスの制作プロダクションと共に撮影に臨んだ。演出の田中健二氏によると、昭武が慶喜の名代としてナポレオン3世の謁見式に出席する場面は最も描きたかったという。ネットで撮影場所を探し、フォンテーヌブロー城に決定。日本のスタジオでは映像合成用の背景「グリーンバック」を使って俳優が演技する場面を、フランスでは城を舞台に現地俳優の出演場面をそれぞれ撮影し、2つの映像を合成した。

遠く離れた場所で演技する俳優たちの目線を合わせるためにマークをつけたり、謁見の場に昭武ら一行が入場するシーンでは日本の俳優の歩く速度を事前に計り、撮影前のフランス側に伝えたりしたという。VFXを駆使した映像表現も「役者に自由に芝居をしてもらってこそ生きる」と田中氏は語る。

グリーンバックを背景にした演技では、当時の絵や写真などを用意して俳優の想像力を喚起するようにした。確かな手触りを感じさせる場面の撮影をあえて途中に入れることでメリハリをつけ、現実に即した演技を引き出す工夫もした。田中氏はこうして制作したドラマを通して「幕末の日本人がパリでどういう感慨に浸っていたかをお楽しみいただきたい」と話している。

(関原のり子)

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