生命の谺(こだま) 川端康成と「特攻」 多胡吉郎著
文豪の心の傷 謎の核心に光
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ノーベル文学賞を受賞して名声の絶頂を極めたはずの川端康成が突然ガス自殺を遂げてから今年でちょうど50年。意外な角度から川端文学に切り込む一冊だ。
切り口は戦争末期の特攻隊。川端は1945年4月24日から1カ月間、海軍報道班員として鹿児島県鹿屋の特攻出撃基地に滞在したことがあったのだった。基地からは沖縄方面に向けて若者たちの特攻機が頻繁に飛び立って行った。川端は彼らの最後の日々を見守りつづけ、彼ら...