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カタルーニャ語で日本文学選集 反響呼んだ「堕落論」

森鷗外や芥川龍之介ら近代日本文学を代表する作家の名作をスペイン東部のバルセロナなどで使われるカタルーニャ語に訳した選集の刊行が、このほど完結した。日本文学をまとまったかたちで欧州の地域言語に訳す試みは珍しく、グローバルとローカル双方に目配りした文化交流の手法として注目されそうだ。

「カタルーニャ語版日本文学選集」全10巻は、法政大名誉教授でカタルーニャ文学研究者の田澤耕氏が編集した。「名探偵コナン」の主人公・江戸川コナンの名前の由来でもある江戸川乱歩の「人間椅子」や、「銀河鉄道999」を連想させる宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」など、現地でも人気のある日本のアニメや漫画と縁のある作品を選んだ。

鷗外の「阿部一族」であれば侍、樋口一葉の「たけくらべ」なら花街など、現地の読者がイメージしやすい日本文化が色濃くでた作品も収録している。「若い読者の関心をひくように、なるべくなじみのあるテーマを選んだ」(田澤氏)。時代背景の解説を盛り込むことで、現地の読者が日本の近現代文学史の全体像をつかみやすいように工夫している。

とくに反響を呼んだのは、敗戦後の日本の状況についてつづった坂口安吾の「堕落論」だったという。「(スペインからの)独立を目指すカタルーニャ人の心に響くものがあったらしく、地元紙にも取り上げられた」

2013年から15年にかけて行われた調査によると、カタルーニャ語の読み書きができる15歳以上の人口はスペイン東部カタルーニャ州を中心に700万人ほどがいる。歴史的にマドリードを中心とするスペイン語(カスティーリャ語)圏から自立しようとする傾向が強く、文化の柱として言語表現を大切に育てようとする意識も高い。田澤氏は「読者の数以上に翻訳のやりがいを感じた」と振り返る。

(篠原皐佑)

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