ジェイコブ・ローレンス「移動シリーズより:第1次世界大戦中南部のアフリカ系アメリカ人たちは北部へと大移動した」
ブラック・アート・マターズ(6) 国立西洋美術館館長 田中正之
[有料会員限定]
ローレンスはアフリカ系アメリカ人の画家の中で最も有名な一人であろう。ニューヨークのハーレムに住み、そこでの人々の暮らしや黒人の歴史を主題とした作品を鮮やかで平面的な彩色によって描いた。
20世紀前半、奴隷制の残滓(ざんし)が色濃い農業中心の南部から工業が盛んな北部へと大勢の黒人が移住し、その出来事は「グレート・マイグレーション(大移住)」と呼ばれている。移住の波は2回あり、最初は1910年代後半...